ここでは東大数理の修士課程の院試の2014B01の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2014B01
とし、上の多項式と定める。更にをの最小分解体とする。またをの最小分解体をとする。はの部分体である。
(1) を求めなさい。
(2) を求め、の群構造を求めなさい。
(3) に含まれるの次拡大の個数を求めなさい。
(4) のGaloisでない次部分拡大で、はに含まれないの巾根をつ以上含んでいるようなものの例を挙げなさい。
- はに根を持たない。ここで根の一つをとおくと、であるから、である。よって
- 初めにをの解とし、をの解とする。このとき上は既約であるから
である。次に前半の議論及びの定義からは次ガロア拡大であり、そのガロア群の元は
で定義される全体の集合として表される。の部分群及びを
とおく。このとき
であるからであり、更にかつであるから、である。特に
であることから、は群準同型
の誘導する半直積
に同型である。 - 次拡大の個数を求めるにはの位数の部分群を数えれば良い。しかしの任意の元の位数はであるから、位数の部分群の個数は
である。 - 初めに
であるからはの非正規部分群であり、の元は全てを固定する。以上からに対応する体が所望の体である。これに対応する体は
である。