本記事では、以下の問題の解説を行う。あとがきを含めても短めの記事なので、気軽に読んでいただきたい。
問題
不正確な体重計を用いて、Aさんの体重を3回測った。1回目の測定値を kg、2回目の測定値を kgとしたとき、3回目の測定値が kg~ kgの区間に収まる確率を求めよ。ただし、体重計の誤差の分布は正規分布に従うものとする。
【正規分布について】
正規分布は、ネイピア数(自然対数の底)
および平均値 、分散 (平均値と分散の定義は省略する)を用いて定義される関数
に対し、値が をとる確率が であるような確率分布を指す。なお、 は確率分布を定義する関数(確率密度関数)なので、
が成り立っている。
以下の解説を読む前に、まずは自身で考えてみてほしい。
解説
とすると、「 回目の測定値が kgとなる確率」は のみに依存し、 によらない。
したがって、3回目の測定値を kgとし、 回目の測定値 が kgであることをを のように表記すると、以下の6パターン
が起こる確率はすべて等しい。即ち として、求める確率は に を重複なく当てはめたときに となる確率であり、これは明らかに である。
あとがき
長々と正規分布に関する説明を行ったが用いたのは解説1行目の性質のみ、という点で、多くの方が拍子抜けしたのではなかろうか。もしかしたら に や を代入して積分に持ち込んだ猛者もいるかもしれない。しかしながら、原理さえ分かれば本問は中学数学で解けてしまうのだ。
ところで、解説では省略したが、例えば のときは でも条件を満たす。とはいえ、 が任意の正の値をとるとき となる確率は であるから、このケースを考慮する必要はない。