2つの積
なるほど,MZVには
という2つの積があるようで,自分の理解のためにここに記しておこう.ただし,複雑だとわけわからん状態になるので,積には深さ1のみ使う.
調和積
これは,和の表示に対して,2つの束縛変数とに対して,ととの3つの順序で足し合わせたもののようだ.
具体的に,
であるから,のようだ.
シャッフル積
こいつは,積分表示の束縛変数に順序をつけて総和をとる.
例えば,について考えると,
であるから,以下の10の順列が考えられる.などの場合は無視できる.
これらについて見やすくする為に,
とを1,それ以外を0として並べてみると,
(参考までに,は10,は100である.)
- 10100
- 11000
- 11000
- 11000
- 11000
- 11000
- 11000
- 10100
- 10100
- 10010
さて,これらに対応するMZVを...
これをもって,
となった.(間違ってるかも,)
では,すこし一般化をして,のシャッフル積を求めよう.
のシャッフル積
を1,を0,などと置き,1と0の羅列でMZVを表記した.これをより丁寧に表記すると,
となる.また,
である.
順序
混合列
とに対して,sとtそれぞれの順序を保ちながらsとtを混合した列を構成すると,それらの組み合わせは通りとなる.
sとtのそれぞれの順序を考えない混合列は通り
s.tそれぞれの順序を考えればの重複がある
よって通り
これが意味するのは,シャッフル積の係数の和がであることだ.
深さ・重さ
上でを見てみた通り,シャッフル積の各項の深さは2,重さは5である.構成方法から容易にわかるように,のシャッフルの各項について深さは2,重さはである.このことからわかるように,シャッフル積はからまでの全てあるいは一部が使われる.
係数決定
のシャッフル積のうち
の係数を求めてみる.
であることから,
とすれば,次の2通りが考えられる.
- であるとき
との間は個あるので,そこにはまでが入る.これにより,でなくてはならないことがわかる.(ならば,係数は0)
このとき,以降では以降のsとtで順序を保つ混合列ができる.よって通りである.つまりのときこれが係数. - のとき
同様にして考えれば,となる.ただし,
つまり,以下が成り立つ.
検算
確かに,ですると合ってそうだ.
では,係数の和
がに等しくなることを示そう.
まず補題.
これを利用して以下を示す.
について考えると,これは
に等しいわけだから,補題より
同様に,
よって,
係数の和の検算ができた.
感想
今回は深さ1どうしの積だったが,深さ2以上や,AMZVなどだとやばそう