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東大数理院試1993年度専門問3解答

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$$\newcommand{CC}[0]{\mathbb{C}} \newcommand{FF}[0]{\mathbb{F}} \newcommand{NN}[0]{\mathbb{N}} \newcommand{PP}[0]{\mathbb{P}} \newcommand{QQ}[0]{\mathbb{Q}} \newcommand{RR}[0]{\mathbb{R}} \newcommand{ZZ}[0]{\mathbb{Z}} $$

東大数理の院試(1993年度専門問3)の解答です.
自分が作った解答は ここ に置いてあります.代数の問題も数問解いてありますが,それだけをpdfにまとめて公開する気がしないので,ここで個別に書いておくことにします.

(東大数理1993年専門問3)

$8$ 個の元からなる有限体 $\FF_8$ 上の方程式
$$y^2 + y = x^7 + x^3$$
の解 $(x, y)$ の個数を求めよ.

$x = 0$ の時は $y^2 + y = 0$ だから $y = 0, 1.$
以下 $x \not= 0$ とする.$\FF_2$ 上の既約多項式 $t^3 + t + 1 \in \FF_2[t]$ の根の一つを $\alpha$ とすれば $\FF_8 \cong \FF_2[\alpha] / (\alpha^3 + \alpha + 1)$ である.
$x = x_0 + x_1 \alpha + x_2 \alpha^2, y = y_0 + y_1 \alpha + y_2 \alpha^2 \, (x_i, y_i \in \FF_2)$ とおくと,$\alpha^4 = \alpha \cdot \alpha^3 = \alpha(-\alpha - 1) = \alpha^2 + \alpha$ であることから
\begin{align*} x^2 &= x_0^2 + x_1^2 \alpha^2 + x_2^2 \alpha^4 \\ &= x_0 + x_1 \alpha^2 + x_2(\alpha^2 + \alpha) \\ &= x_0 + x_2 \alpha + (x_1 + x_2)\alpha^2. \end{align*}
よって
\begin{align*} y^2 + y =\, & (y_0 + y_2 \alpha + (y_1 + y_2)\alpha^2) + (y_0 + y_1 \alpha + y_2 \alpha^2) \\ =\, & (y_1 + y_2)\alpha + y_1 \alpha^2, \\ x^7 + x^3 =\, & 1 + (x_0 + x_2 \alpha + (x_1 + x_2)\alpha^2)(x_0 + x_1 \alpha + x_2 \alpha^2) \\ =\, & 1 + x_0^2 + (x_0 x_1 + x_0 x_2)\alpha + (x_0 x_2 + x_1 x_2 + (x_1 + x_2)x_0)\alpha^2 \\ &+(x_2^2 + (x_1 + x_2)x_1)\alpha^3 + (x_1 + x_2)x_2 \alpha^4 \\ =\, & 1 + x_0 + x_2 + (x_1 + x_2)x_1 + (\text{$\alpha, \alpha^2$ の項}). \end{align*}
従って $x_1, x_2$ を任意に一組決めると,方程式の $\alpha^0, \alpha^1, \alpha^2$ の係数を比較して $x_0, y_1, y_2$ が一意に定まる.また $y_0$ は任意だから解は $2^3 = 8$ 個.

以上から答えは $2 + 8 = 10.$

投稿日:20231226
更新日:20231226
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delta
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