本内容の投稿目的は、微分方程式から差分方程式に変換することで失われる数学的な性質が、進化生物学の遺伝的浮動という現象と対応していることが面白いので、関係性を整理しつつ、有識者からの意見を集めることである。
レプリケーター方程式と遺伝的浮動についてそれぞれ記述する。
式自体と式の意味についてそれぞれ記述する。
以下のように表現される。
左辺は戦略iを採用する個体の頻度の時間変化である。
右辺は頻度と「戦略iでの適応度と平均適応度の差分」の積を意味する。
辞書的意味と進化生物学的意味をそれぞれ記述する。
Wikpedia では以下のようにある。
遺伝的浮動(いでんてきふどう、genetic drift)とは、無作為抽出の効果によって生じる、遺伝子プールにおける対立遺伝子頻度の変化である。
進化生物学的意味
例えば、ある戦略がレプリケーター方程式の安定な解とすると、ランダムな影響がなければ、ひとたび集団全体がその戦略を採用すれば、常に全個体がその戦略を採用し続けることなる。
だが、レプリケーター方程式の前提条件として無限集団が仮定されている。
有限集団ではランダムな揺らぎが存在し、安定な戦略以外を採用する個体が出現しうる。
この現象が遺伝的浮動である。
厳密には、進化的に安定な戦略であることはレプリケーター方程式の安定な解であることではなく、遺伝的浮動の意味する範囲はより広いが、ここでは両者の関係性に焦点を当てるため、広義の意味には立ち入らないことする。
有限集団(個体数N)を仮定し、レプリケーター方程式を差分方程式にする。
右辺の第三項が、レプリケーター方程式(微分方程式)で表現されてない、差分方程式にしたことで表現される、遺伝的浮動に対応する確率項である。
公式2から、個体数Nが小さくなると遺伝的浮動の影響が大きくなり、個体数Nが十分に大きいと遺伝的浮動の影響が無視できることがわかる。
個体数Nが無限大の極限において差分方程式はレプリケーター方程式の性質と一致する。
確率微分方程式と動的計画法をそれぞれ記述する。
公式2は微分方程式を差分化した式に確率項が含まれた式である。
確率項がどのような確率分布かによって、遺伝的浮動の影響の効果は異なることが予想される。
残念ながら、本稿の記載時点にて、確率微分方程式の知見が足りず、上記のような微分方程式から得られた式への確率面の詳細な解析はできなかった。
公式2について、どのような確率分布を仮定すると、どのような効果になるか想像できる有識者からのフィードバックを求む。
動的計画法(dynamic programming)は、進化生物学に関するモデルの分析で、微分方程式の安定な解を議論する際に使用されることがある。
レプリケーター方程式と遺伝的浮動の関係性について、関数解析に詳しい人に話した際、
動的計画法の一種である「ベルマン方程式」とそれを差分方程式に変換した「ハミルトン-ヤコビ-ベルマン方程式」の関係に似ているのではないか
という指摘を受けた。
動的計画法の理解に役立つ書籍や情報源、微分方程式との関連性について、有識者からのフィードバックを求む。