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科学大数学院試過去問解答例(2025午後07)

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ここでは科学大数学系の修士課程の院試の2025午後07の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです

2025午後07
  1. (0,)上のルベーグ可測関数がx2<f(x)xを満たすとき、極限
    limn0n(arctanf(x)f(x))ndx
    を計算しなさい。
  2. p1以上の実数とする。(0,1)上のルベーグ可測関数fについて等式
    01|f|pdx=p0tp1μ({x(0,1)|f(x)>t})dt
    を示しなさい。
  3. p1以上の実数とする。(0,1)上のルベーグ可測関数fについて以下の条件が同値であることを示しなさい。
  1. 01|f|p<
  2. n=12npμ({x(0,1)|f(x)>t})<
  1. まず
    fn(x)={(arctanf(x)f(x))n(x[0,n])0(if else)
    で定める。そして
    g(x)={1(x1)1f(x)2(1x)
    とおく。このときfngであり、g(x)はルベーグ可積分関数であるから、ルベーグの優収束定理から
    limn0n(arctanf(x)f(x))ndx=limn0fn(x)dx=0nlimnfn(x)dx=0
    がわかる。
  2. ルベーグ積分の定義と置換積分により
    X|f|pdμ=0μ({xX||f(x)|p>s})ds=0μ({xX||f(x)|p>tp})ptp1dt=0μ({xX||f(x)|>t})ptp1dt
    であり、これが所望の結果である。
  3. まず
    1μ({xX||f(x)|>t})ptp1dt=plog(2)1μ({xX||f(x)|>2u})2pudu
    である。ここで関数g(x)=μ({xX||f(x)|>t})ptp1dtは広義単調減少なので不等式
    12p2(n+1)pg(n+1)nn+12pug(u)du22png(n)
    である。ここから
    12pi=22npg(n)12pug(u)du2i=12png(n)
    である。あとはgが正値関数であることを考慮すれば、左側の不等式を用いて(i)から(ii)を、右側の不等式から逆を示せる。
投稿日:223
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藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント 

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