導入
よく知られているように、素数がフェルマー素数の時、正角形は作図可能です。
現在知られているフェルマー素数はの個ですが、これらのについて正角形の作図をしようとすると、くらいからの原始根を一つ固定して考えたくなる状況が発生します。
の時には、原始根としてが取れます。実際、は
よりで初めてと合同となり、原始根であることが比較的簡単に確認できます。
実は現在知られているその他のフェルマー素数でもが原始根であることが計算で確かめられます。それだけではなく、なんと次の事実が成り立ちます。
フェルマー素数の原始根
が以上のフェルマー素数のとき、の生成元(原始根)として常にが取れる。
常に、と書きましたが、現在知られている以上のフェルマー素数はのたった個です。
もしフェルマー素数がこれ以降無いことが証明されてしまうと、この定理は威力を発揮しないまま終わってしまう悲しい状態になってしまうのですが、もしなんらかの方法で新たなフェルマー素数が発見された時、原始根として計算するまでもなくが取れるのです!
(ただし後述するとおり、この逆に近い事実が成り立っており、これを用いてフェルマー数が素数かどうかの判定を行うこともあるようです(Pépin's test))
ということでこの定理の証明を以下に行います。
証明
一般に素数について、の原始根が常に存在する。それを一つとってとする。任意のに対してなるがmod で一意に定まり、
と書ける。ここで は平方剰余記号。
さて、は原始根だから、 mod が成り立ち、
が成り立つ(いわゆるEulerの規準)。
さて、が原始根であることを言うには、を言えば良いが、上記により
を言えば良いことになる。ここで平方剰余の相互法則が使えて
が成り立つが、今 よりは偶数だから
となる。また、だから結局
となる。以上より
が言えた。よっては原始根である。
さて、以上が証明になりますが、もう少し調べると(といってもwikipediaに書いてる事実だったのですが)、この逆に近いことも言えることが分かりました。すなわち
に対し、をと定める。が素数であることと、が成り立つことは同値。
はフェルマー素数ととても関係が深い数だったのですね!
と興奮気味に書きましたが、この証明は簡単です。必要性は上記の証明の中で示しています。十分性について書きます。
十分性の証明
が成り立つならば、だからのにおける位数はの約数であり、の形。しかし、ではだから、の位数はちょうどになる。これはの位数がであることを言っているので、は素数である。
なお、wikipediaを見るとこの事実を用いてがでフェルマー素数でないことの証明に用いられたことが書いてあります(Pépin's test - Wikipedia)。
(この記事ははてなブログに筆者が書いた
記事
をmathlog用に書き直したものです)