14

3乗根定理と4乗根定理

845
0

整数の3乗根とか4乗根が存在するための条件の話。平方剰余というのがある。奇素数pに対し、1,2,,p1の中にはモジュロpで平方数に等しいものが半分、そうでないものが半分入ってる。それを判定する相互法則というのがあったりする。相互法則は3乗や4乗のものもある。そんな感じ。

3乗根定理

2の3乗根定理

pは3で割って1余る素数とする。このとき、
xZ    x32  mod p  A,BZ   p=A2+27B2.

2の3乗根定理

具体例。
31=22+2712,   43=42+2712,   109=12+2722.
2の3乗根。
432  mod 31,   2032  mod 43,   5732  mod 109.

3の3乗根定理

pは3で割って1余る素数とする。このとき、
xZ    x33  mod p  A,BZ   4p=A2+243B2.

3の3乗根定理

具体例。
461=12+24312,   473=52+24312,   4193=232+24312.
3の3乗根。
433  mod 61,   2533  mod 73,   4833  mod 193.

5と7の3乗根はちょっと混み入っている。

5の3乗根定理

pは3で割って1余る素数とする。このとき、x35  mod pを満たす整数xが存在するためには、pがある整数A,Bを用いて次の形で書けることが必要かつ十分である。
4p=A2+2527B2    4p=25A2+27B2.

5の3乗根定理

具体例。
413=2512+2712,   4181=72+252712.
5の3乗根。
835  mod 13,   10235  mod 181.

7の3乗根定理

pは3で割って1余る素数とする。このとき、x37  mod pを満たす整数xが存在するためには、pがある整数A,Bを用いて次の形で書けることが必要かつ十分である。
4p=A2+4927B2    4p=49A2+27B2.

7の3乗根定理

具体例。
419=4912+2712,    473=4912+2732.
7の3乗根。
437  mod 19,   3137  mod 73.
もうちょっとだけ。
4181=4912+2752,    4331=12+492712.
7の3乗根。
3237  mod 181,   1037  mod 331.

4乗根定理

2の4乗根定理

pは4で割って1余る素数とする。このとき、
xZ    x42  mod p  A,BZ   p=A2+64B2.

2の4乗根定理

具体例。
73=32+6412,   89=52+6412,   113=72+6412.
2の4乗根。
2542  mod 73,   842  mod 89,   2742  mod 113.

3の4乗根定理

pは4で割って1余る素数とする。このとき、x43  mod pを満たす整数xがあるためには、pが次のいずれかの条件を満たすことが必要かつ十分である。
(1):p1  mod8    A,BZ    p=A2+36B2.
(2):p5  mod8    A,BZ    p=9A2+4B2.

3の4乗根定理

(1)の例。
p=193=72+3622,    2043  mod193.
(2)の例を3つほど。
13=912+412,   109=912+452,   181=932+452.
181何回も出てくるけど、この数が特殊なだけでバグではないです。
243  mod 13,   743  mod 109,   2443  mod 181.

5の4乗根定理

pは4で割って1余る素数とする。このとき、
xZ    x45  mod p  A,BZ   p=A2+100B2.

5の4乗根定理

具体例。
101=12+10012,   109=32+10012,   149=72+10012.
5の4乗根。
6445  mod  101,   8145  mod  109,   5145  mod  149.

7の4乗根定理

pは4で割って1余る素数とする。このとき、x47  mod pを満たす整数xがあるためには、pが次のいずれかの条件を満たすことが必要かつ十分である。
(1):p1  mod8    A,BZ    p=A2+49B2.
(2):p5  mod8    A,BZ    2p=A2+49B2.

7の4乗根定理

(1)の例から。
113=82+4912,   193=122+4912.
7の4乗根。
947  mod 113,    3247  mod 193.
(2)の例。
229=32+4912,   2109=132+4912.
7の4乗根。
847  mod 29,   4847  mod 109.

ガウス和とかヤコビ和とか使って証明されるんだけど長すぎてここには書けないので参考文献だけ。
 参考文献:A Classical Introduction to Modern Number Theory, Kenneth Ireland, Michael Rosen. Springer Verlag, 1990. 2nd Edition.
整数論について色々書いてある本で、第9章だと思う、3次と4次の相互法則が載っててそこら辺参考にして自分でいろいろ計算して出した気がする。懐かしい・・。

投稿日:20201116
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

黒狐
黒狐
34
4482
数学ちょっと好きです!

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中