概要
本稿では,確率論の記法を用いて「平均収束」や「空間」について述べます.ただし,個人的な学習のメモなので,内容が体系的ではないことに注意してください.
半ノルム
以下,確率空間上の確率変数および確率変数列を考える.
およびに対してであることを示せばよい.
に対してが成り立つ.実際,最初の不等号はであることからわかり,2番目の不等号は,よりであることからわかる.
三角不等式と1よりであるからとなり,であることが従う.
以上より,は線形空間である.
が半ノルムの定義を満たすことを示す.
とに対して,となる.
に対して,Minkowskiの不等式よりが成り立つ.
以上より,は上の半ノルムである.
Minkowskiの不等式よりすなわち,すなわちである.従ってが成り立つ.
平均収束
次平均収束
の元の列およびに対して,がに次平均収束するとは
であることをいい,このことを in と書く.
命題3よりが成り立つ.よって inよりはに収束する.従って,はに収束する.
空間
とおく.
はによって定義される上の二項関係による商空間である.すなわち,のほとんど確実に等しい元を同一視した空間がである.
は線形演算について閉じている.すなわち,次が成り立つ.
に対してである.ただし,左辺の集合を次のように定義する.
$$[X]_p+[Y]_p:={\tilde{X}+\tilde{Y}:\tilde{X}\in[X]_p, \tilde{Y}\in[Y]_p}$$
,に対してである.ただし,左辺の集合を次のように定義する.
以下,とする.
よりである.また,かつよりである.
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以上より,は線形演算について閉じていることがわかる.
およびに対して,命題5よりであるから,は線形空間である.
に対してと定める.はwell-definedである.
がノルムの定義を満たすことを示す.
である.逆にのとき,よりすなわちである.よってならばである.
とに対して,となる.
に対して,となる.
以上より,は上のノルムである.
が距離の定義を満たすことを示す.
定義より,である.のとき,よりであるからとなる.
である.
である.
以上より,は上の距離である.
命題3が(半)ノルムの連続性と呼ばれる理由は次の命題である.
任意のに対してとおけば,を満たすに対して,命題3よりすなわちとなる.従って,写像は連続である.