朝起きたら, 偶然, だいぶ前になくしたと思っていた, お気に入りのノートが見つかったので, その中から1つ,
という式について, 書きたいと思います. まず, 調和数というものは以下のように定義されます.
調和数の母関数はよく知られていて, 以下のような形をしています. (収束半径はなので以下略します)
これは, 有名なMaclaurin展開,
に, を掛けると証明することができます. 調和数の母関数を項別積分すると,
しかし, 当時の僕はこれを見て, よりもの方がかっこいいね, と思ったので, これをもちいて以下のようなものを求めています.
つまり,
となります. さて, これをさらにこれを積分していきます. しかし, 今度はそのまま積分しても分母がになって, 部分分数分解できてしまうので, 以下のように計算していきます.
さて, ここで, 2項目を部分積分で愚直に計算していきます.
というようになります. (項別積分なので, 厳密には極限を取る必要があります.) よってこれを代入して,
というふうになって, 目的の式を証明することができました. 試しにを代入してみると, のところが打ち消しあって,
となります. さて, 当時の僕は多重ゼータ値をよく知らなかったんですが, これはMultiple Polylogarithmsという以下の関数で理解することができます.
というふうになります. これをもちいてさきほどの式を書き直すと,
が得られます. をと書き直すと,
つまり, 僕が得ていた式はMultiple Polylogarithmsを通常のPolylogarithmsで書き表す式を与えていたということになります. を代入してみると, 多重ゼータ値の関係式,
を得ることができます. さて, 他にもの特殊値を求めたいと思うかもしれませんが, それにはなかなか難しい, の特殊値を求める必要があるので, 割愛します. 更に積分したりしたらどうなるのかはよく知らないので, 興味があったら試してみてください.