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軌跡のベクトル解釈

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高校数学Ⅱ教科書で頻出な次の2つの軌跡

(1) AP2BP2=k(2) AP2+BP2=k

について,数学ⅡではP(x,y)とおくことで,(1)は直線,(2)は円をなすことがすぐに分かり,楕円や双曲線の一歩手前の問題としてよく演習される。
が,これをベクトルを用いて表すことで「どのような直線」「どのような円」かを表せるようにしたい。

直線のベクトル方程式の内積表現

X(x)を通り,nに垂直な直線上の点P(p)について
n(px)=0

円のベクトル方程式

中心C(c),半径rの円周上の点P(p)について
|pc|=r

これらを用いて,最初の問題を解くことを考える。以下,OP=pOA=aOB=bL=AB=|ba| としてこれを用いる。

(1)の解法

AP2BP2=k    |pa|2|pb|2=k  2bp2apk|b|2+|a|2=0  2(ba)pk(ba)(b+a)=0  2(ba)pk(ba)(ba)L2(ba)(b+a)=0  (ba)(pk(ba)2L2b+a2)=0  (ba)(p(L2k)a+(L2+k)b2L2)=0
したがって,点Pの軌跡は,線分AB(L2+k):(L2k)に分ける(外分の可能性もある)点をXとしたときの,点Xを通り直線ABに垂直な直線となる。

(2)の解法

c=a+b2とおくと,|AC|=|BC|=L2で,AC+BC=0である。
AP2+BP2=k    |AC+CP|2+|BC+CP|2=k 12L2+2CP(AC+BC)+2|CP|2=k  |pc|2=k214L2
したがって,k12L2のときに軌跡が存在し,線分ABの中点Cを中心とする半径2kL22の円となる。

結論

(1)は常に直線ABに垂直な直線で,kが動くことで直線AB上の通る点Xは直線AB上すべてを動きうる。ここから,直角三角形PAXPBXの存在が見えてくる。
 (2)は常に中心を点Cとするような円で,k12L2が動くことで中線定理とPCが固定されるような円の存在が見えてくる。
 当然複素数で解釈することもできるので,次回のテーマとする。

投稿日:20201118
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smania
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