問題設定
今日は、半径の次元球の体積を求めてみたいと思います。まずは、体積の定義を確認します。
体積
に対して
が可積分であるとき、は体積確定といい、この積分の値を、の(次元)体積という。
したがって、今回考えるのは、次の問題ということになります。
次元極座標変換
この積分をこのまま計算するのは現実的ではありません。そこで極座標変換をしたいのですが、次元の極座標とはどうすればいいのでしょうか。を極座標表示することとします。それはおよそ次の手順にまとめられます。
- を軸と超平面()に射影する
- への射影を、軸と超平面()に射影する
- 手順1,2を繰り返す
実際にやってみます。手順1は、
と置くことに相当します。はの大きさで、はの超平面への射影の大きさです。その射影について同じことをします。すなわち、
です。さらに繰り返してゆきます。
最後のとは、軸への射影のことなので、座標そのものを表し、とは限らないことに注意します。の範囲も、これだけまでです。
こうして、を極座標表示することができました。
重積分における置換積分
変数変換して積分する場合は、微小体積がどう変換されるかも知らなけらばなりません。その求め方について簡単に解説します。
わかりやすさのために、まずは、馴染みのある2次元極座標変換で考えてみます。
このもとで、がを動くとき、の動く範囲の面積はいくらでしょうか。この例では、の動く範囲は扇型から扇型を除いた形なので、図形的に考えれば容易に求めることができますが、ここでは後のためにもより一般的に考えます。微小量の関係は次の式で表されます。
もっといえば、
つまり、がを動くとき、は、を上の行列で変換した図形を動くことになります。もちろんこれは平行四辺形なので、扇型とは一致しないですが、一次近似するとそうなる、ということです。すると、行列式が面積の拡大率になるので、この場合は
より、
となります。
本題に戻って、次元極座標変換にこのことを適用してみます。
したがって、
です。いま、
より、
となりました。これで、求める積分が次のように書き換えられます。
あとは計算
雪崩れるように消えてゆく感じがなんとも言えぬ爽快感を感じさせますね。
本日は以上です。読んでいただきありがとうございました。