こんにちは,みるか( @mirucaaura )です.今回は以下の問題を扱います.
「任意の$\varepsilon > 0$に対して$\alpha < \beta + \varepsilon$」が成り立つとき,「$\alpha \leq \beta$」が成り立つか.ここで,$\alpha$および$\beta$は実数です.
本記事は敬体で書いていますが,深い意味はありません.
結論としては「成り立つ」です.背理法で示しましょう.「任意の$\varepsilon > 0$に対して$\alpha < \beta + \varepsilon$」が成り立つとき,「$\alpha > \beta$」が成り立つと仮定します.このとき,仮定より$\alpha - \beta > 0$であり,$\delta := \alpha - \beta$なる$\delta > 0$が存在します.これより,
\begin{align}
\alpha &= \beta + \delta > \beta + \frac{\delta}{2}
\end{align}
が成り立ちますが,条件である「任意の$\varepsilon > 0$に対して$\alpha < \beta + \varepsilon$」に矛盾します.したがって,「任意の$\varepsilon > 0$に対して$\alpha < \beta + \varepsilon$」が成り立つとき,「$\alpha \leq \beta$」が成り立つことが示されました.
逆も成り立ちます.すなわち,
「$\alpha \leq \beta$」が成り立つとき,「$\alpha < \beta + \varepsilon \quad (\forall\varepsilon > 0)$」が成り立つ.
が言えます.証明は易しいのでぜひ考えてみてください.