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力学変数の変換とEuler-Lagrange方程式

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私は最近、「基幹講座 解析力学」という本で解析力学を学んでいるのですが、その途中で出てきた次の問いに苦戦していました。一昨日解決したので、思考の整理がてら記事を生やそうと思い筆を執っています。

さて、次のような問題です。

Lagrangian$L(q,\dot{q},t)$で記述される$N$自由度系において、力学変数$q$の代わりに$N$個の$N+1$変数関数$f_i$を用いて、
$q_i(t)=f_i(Q_1(t),Q_2(t),\ldots,Q_N,t) (i=1,2,\ldots,N)$
で関係した新力学変数$Q$をとる。$q$のLagrangian$L(q,\dot{q},t)$を新力学変数$Q$で表した、
$L_Q(Q,\dot{Q},t)=L (f(Q,t),$$\displaystyle\frac{d}{dt} f(Q,t)$$,t)$に対応したEuler-Lagrange方程式

$\displaystyle\frac{\partial L_Q}{\partial Q_i}-\displaystyle\frac{d}{dt}\frac{\partial L_Q}{\partial \dot{Q_i}}=0$
が、元のEuler-Lagrange方程式と等価であることを示せ。

問題文の主張は?

問の主張は、ざっくり説明すると、

例えば2次元のある系の運動に関しての記述で、力学変数として、直交座標$(x,y)$を用いて、Euler-Lagrange方程式をたてようと、極座標$(r,\theta)$を用いて、Euler-Lagrange方程式をたてようと同じ結果が得られる。
これは次元が上がろうと、良くわからない頭のおかしい力学変数の取り方をしようと、同じ系の運動に関しての記述であれば結果は同じになる。

というものです。

一般化座標を用いての議論なのだから、座標の取り方によらず同一の結果が得られることはなんとなくわかりますが、定量的に議論していきましょう。

さて、いきなり多変数(高次元)で話をしても理解しにくいので、まずは2次元で議論しましょう。

例えば、2次元で$(x,y)→(r,\theta)$の変換を考えてみます。

$x=r\cos\theta$なので、$\displaystyle\frac{\partial r}{\partial x}=\frac{1}{\cos\theta}$であり、また、
$dx=\cos\theta dr-r\sin\theta d\theta$ なので、両辺を微小時間で割って、
$\dot{x}=\dot{r}\cos\theta-\dot{\theta}r\sin\theta$$ \Longrightarrow $$\displaystyle\frac{\partial \dot{r}}{\partial \dot{x}}=\frac{1}{\cos\theta}$

よって、
$$\displaystyle\frac{\partial L}{\partial x}-\frac{d}{dt}\frac{\partial L}{\partial \dot{x}}=0\notag\\ \Longleftrightarrow \frac{\partial L}{\partial r}\frac{\partial r}{\partial x}-\frac{d}{dt}\frac{\partial L}{\partial \dot{r}}\frac{\partial \dot{r}}{\partial \dot{x}}=0\notag\\ \Longleftrightarrow\displaystyle\frac{\partial L}{\partial r}\frac{1}{\cos\theta}-\frac{d}{dt}\frac{\partial L}{\partial \dot{r}}\frac{1}{\cos\theta}=0\notag\\ \Longleftrightarrow\displaystyle\frac{1}{\cos\theta}\left(\frac{\partial L}{\partial r}-\frac{d}{dt}\frac{\partial L}{\partial \dot{r}}\right)=0$$

できましたね。
$\theta$についても全く同様に可能です。

ここで重要だったのが、$\displaystyle\frac{\partial r}{\partial x}=\frac{\partial \dot{r}}{\partial \dot{x}}$です。
これが成り立っていたから最後に$\displaystyle\frac{1}{\cos\theta}$でくくれた訳ですから。

だんだん答えが見えてきましたね。一般化していきましょう。

$(q_1,q_2,\ldots,q_N)→(Q_1,Q_2,\ldots,Q_N)$の変換。

これは、点変換(point transformation)と呼ばれる、Lagrangianについての変換です。

$q_i(t)=f_i(Q_1,Q_2,\ldots,Q_N,t)$である。
$\displaystyle\frac{\partial \dot{Q_i}}{\partial \dot{q_j}}=\frac{\displaystyle\partial \left(\frac{dQ_i}{dt}\right)}{\displaystyle \partial \left(\frac{dq_j}{dt}\right)}=\frac{\partial Q_i}{\partial q_j}=\frac{\partial Q_i}{\partial f_j}$を踏まえて考えていく。

$\displaystyle\frac{\partial L}{\partial q_i}-\frac{d}{dt}\frac{\partial L}{\partial \dot{q_i}}=0\notag\\ \Longleftrightarrow\displaystyle\frac{\partial L_Q}{\partial Q_i}\frac{\partial Q_i}{\partial q_j}-\frac{d}{dt}\frac{\partial L_Q}{\partial \dot{Q_i}}\frac{\partial \dot{Q_i}}{\partial \dot{q_j}}=0\notag\\ \Longleftrightarrow\displaystyle\frac{\partial Q_i}{\partial q_j}\left(\frac{\partial L_Q}{\partial Q_i}-\frac{d}{dt}\frac{\partial L_Q}{\partial \dot{Q_i}}\right)=0$

よって、$\displaystyle\frac{\partial L_Q}{\partial Q_i}-\frac{d}{dt}\frac{\partial L_Q}{\partial \dot{Q_i}}=0$である。(証明終了)

いやあ疲れましたね。偏微分の記号が非常に打つのに時間がかかる。
解析力学を学び始めて5日目にしてこの問題にぶち当たった訳ですからそれはもう心が折れそうでした。
問題の解釈、それを当然の主張に見ること、そして多変数関数や偏微分の考え方など問題が山積みの状態だったので、理解までに10日もかけてしまいました。
ですがこの問題を解決したことで、解析力学の基本的なもののとらえ方の片鱗が理解できたので、時間をかけた価値は十分にあったと思います。
また、具体例で考えることの大切さも再認識しました。
拙い文章でしたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

2020/11/20

投稿日:20201119

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今は 解析力学、複素解析、Γ関数周り について学んでいます

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