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高校数学(2) √2の無理性の証明

2090
2

今回は2が無理数であることを様々な方法で証明してみます。

定理
2は無理数

まずは教科書に載っている証明です。

(証明1)
2が有理数であると仮定すると2=nmと既約分数に表すことができる。
これを変形するとn2=2m2となる。
この式において、右辺は偶数なので左辺も無論偶数であり、nが偶数であることがわかる。
よって、n=2nとおくと4(n)2=2m2より、2(n)2=m2となり、先程と同じ理由によりmが偶数であることがわかる。しかし、これはnmが既約分数であるという仮定に反する。
よって2は無理数である。 □

次に、この方法を少しアレンジしてみます。

(証明2)
2が有理数であると仮定すると、2=nmと表すことができる。(既約分数でなくてもよい)
これより、n2=2m2となる。
ここで、n2で割り切れる最大の回数をam2で割り切れる最大の回数をbとすると、2a=2b+1となり、()=()となるので矛盾。
従って、2は無理数である。 □

ここから先は日常生活では使わない証明になると思います。

(証明3)無限降下法

2が有理数であると仮定すると、正の整数の組(m,n)であってn=m2を満たすものが存在する。このような(m,n)のうちmが最小となるものを(m0,n0)とする。
このとき、n02=2m0より、(n0m0)2=2m0n0となり、(n0m0,2m0n0)は条件を満たし、n0m0<m0より、m0の最小性に矛盾する。
従って、2は無理数である。
(証明4)正則連分数展開

2が有理数であるとするとその正則連分数展開は有限回で終わる。しかし、2の正則連分数展開は2=[1;2¯]と無限に続くので2は無理数である。

正則連分数展開を使う方法だとnの他にもtan1eなどにも適用できますね。

(証明5)0と1の間にある整数

α=21と置く。2が有理数であると仮定すると、2=nmと置ける。
また、数学的帰納法により整数列ak,bkを用いてαk=ak+bk2と表せるので|αk|=|mak+nbkm|1m
これとlimkαk=0より、kが十分大きいところではαk<1mとなり矛盾。
従って、2は無理数である。 □
このように、0と1の間にある整数を作って矛盾を生じさせる方法もたまに使われます。
(証明6)方程式の解

2が有理数であると仮定する。
x22=(x+2)(x2)となるが、これに「整数係数多項式が2つ以上の有理数係数多項式の積に分解できるとき2つ以上の整数係数多項式の積にも分解することができる」という定理を使うと整数a,b,c,dを用いてx22=(axb)(cxd)と表せる。2次の係数を比較することでa=c=1となるので、2が整数であることになるが、これは1<2<2に反する。
従って、2は無理数である。 □

途中に出てきた定理は2の無理性を示すには強すぎますね。

お読みいただきありがとうございました。
他にも証明方法があったらコメントやリプで教えてください。

追記)
ぐれぽんさんから証明を教えていただきました。

(ぐれぽんさんの証明)
証明1と同じ仮定で2=nmとおき矛盾を導く。2乗して2=n2m2であるがnmは互いに素よりn2m2も互いに素。これよりそれらの商n2/m22という整数になるにはm2=1が必要。よって2=n2となり、このような整数nは存在せず矛盾。背理法より示された。

投稿日:20201119
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tria_math
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