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行列の区分けの積は覚えるつもりがない

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$$\newcommand{bekutoru}[1]{\displaystyle\overrightarrow{\mbox{#1}\phantom{A}\hspace{-1em}}} \newcommand{bm}[1]{\boldsymbol{#1}} \newcommand{bunsuu}[2]{\dfrac{\,#1\,}{\,#2\,}} \newcommand{Deg}[0]{^{\circ}} \newcommand{dsqrt}[1]{\displaystyle\sqrt{\,#1\,}} \newcommand{foo}[1]{\ifnum#12\text{それは2だよ!}\else\text{それは2じゃないよ!}\fi} \newcommand{gauss}[1]{\left[\mkern1mu {#1}\mkern1mu\right]} \newcommand{kaku}[1]{\angle\mbox{#1}} \newcommand{kumiawase}[2]{\mathord{{}_{#1}\kern-.12em{}\text{C}_{#2}}} \newcommand{mdot}[0]{\!\cdot\!} \newcommand{sankaku}[1]{\triangle \mbox{#1}} \newcommand{suuretu}[1]{\left\{#1\right\}} \newcommand{tsqrt}[1]{\textstyle\sqrt{\,#1\,}} \newcommand{zyunretu}[2]{\mathord{{}_{#1}\kern-.12em{}\text{P}_{#2}}} $$
行列の区分け

$A=(a_{ij})$$(l,m)$型行列とし,$A$$p-1$本の横線と$q-1$本の縦線によって$pq$個のブロックに分ける。($1\leq p\leq l$$1\leq q\leq m$)このとき,上から$s$番目,左から$t$番目のブロック(の行列)を$A_{st}$とするとき,

\begin{equation} A= \begin{bmatrix} A_{11}&A_{12}&\cdots&A_{1q}\\ A_{21}&A_{22}&\cdots&A_{2q}\\ \vdots&\vdots& &\vdots\\ A_{p1}&A_{p2}&\cdots&A_{pq} \end{bmatrix}\qquad {\tag{#}}\label{kuwake} \end{equation}

と書く。これを行列の区分けまたはブロック分けという。

区分けの積

$A$の区分けを(\ref{kuwake})式のようにし,$A_{st}$$(l_s,m_t)$型とする。
$1\leq s\leq p,\ 1\leq t\leq q $
もちろん$$ \begin{cases} l&=l_1+l_2+\cdots+l_p\\m&=m_1+m_2+\cdots+m_q \end{cases} \qquad \tag{★} \label{asdfghjk} $$
である。さて,$(m,n)$$B=(b_{ij})$
\begin{equation} B= \begin{bmatrix} B_{11}&B_{12}&\cdots&B_{1r}\\ B_{21}&B_{22}&\cdots&B_{2r}\\ \vdots&\vdots& &\vdots\\ B_{q1}&B_{q2}&\cdots&B_{qr} \end{bmatrix} \end{equation}
$qr$個のブロックに分け,$B_{tu}$$(m_t,n_u)$型とする。
$1\leq t\leq q,\ 1\leq u\leq r$
このときも
\begin{equation}\label{asdfghjkl} \begin{cases} m&=m_1+m_2+\cdots+m_q\\ n&=n_1+n_2+\cdots+n_r \end{cases}\tag{♠} \end{equation}
となる。このとき自然数$m$の分割の仕方が,(\ref{asdfghjk})と(\ref{asdfghjkl})とで一致しているならば,積$C=AB$は次のように区分けされる。$$ C= \begin{bmatrix} C_{11}&C_{12}&\cdots&C_{1r}\\ C_{21}&C_{22}&\cdots&C_{2r}\\ \vdots&\vdots& &\vdots\\ C_{p1}&C_{p2}&\cdots&C_{pr} \end{bmatrix}$$
ただし,$C_{su}$$(l_s,n_u)$型で,$$ C_{su}=\sum_{t=1}^q A_{st}B_{tu}\left(\vphantom{\sum} =A_{s1}B_{1u}+A_{s2}B_{2u}+\cdots+A_{sq}B_{qu}\right) $$
である。

これを“覚えた”人がいて驚いたという話です。うわ,理系でもこんな人がいるんだあというようなお気持ちにさせられました。

これは覚えるというよりも,積の演算がwell-definedになるように考えれば,この命題を書き下せるようになるんじゃないかな。。。

投稿日:20201120
更新日:20231212

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ぱるち
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数学屋さんをしています。代数,数論系に興味があり,今は楕円曲線と戯れています。Mathlogは現実逃避用という噂もあります。@f_d00123

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