$A=(a_{ij})$を$(l,m)$型行列とし,$A$を$p-1$本の横線と$q-1$本の縦線によって$pq$個のブロックに分ける。($1\leq p\leq l$,$1\leq q\leq m$)このとき,上から$s$番目,左から$t$番目のブロック(の行列)を$A_{st}$とするとき,
\begin{equation} A= \begin{bmatrix} A_{11}&A_{12}&\cdots&A_{1q}\\ A_{21}&A_{22}&\cdots&A_{2q}\\ \vdots&\vdots& &\vdots\\ A_{p1}&A_{p2}&\cdots&A_{pq} \end{bmatrix}\qquad {\tag{#}}\label{kuwake} \end{equation}
と書く。これを行列の区分けまたはブロック分けという。
$A$の区分けを(\ref{kuwake})式のようにし,$A_{st}$は$(l_s,m_t)$型とする。
($1\leq s\leq p,\ 1\leq t\leq q $)
もちろん$$
\begin{cases}
l&=l_1+l_2+\cdots+l_p\\m&=m_1+m_2+\cdots+m_q
\end{cases}
\qquad \tag{★} \label{asdfghjk}
$$
である。さて,$(m,n)$型$B=(b_{ij})$を
\begin{equation}
B=
\begin{bmatrix}
B_{11}&B_{12}&\cdots&B_{1r}\\
B_{21}&B_{22}&\cdots&B_{2r}\\
\vdots&\vdots& &\vdots\\
B_{q1}&B_{q2}&\cdots&B_{qr}
\end{bmatrix}
\end{equation}
と$qr$個のブロックに分け,$B_{tu}$は$(m_t,n_u)$型とする。
($1\leq t\leq q,\ 1\leq u\leq r$)
このときも
\begin{equation}\label{asdfghjkl}
\begin{cases}
m&=m_1+m_2+\cdots+m_q\\
n&=n_1+n_2+\cdots+n_r
\end{cases}\tag{♠}
\end{equation}
となる。このとき自然数$m$の分割の仕方が,(\ref{asdfghjk})と(\ref{asdfghjkl})とで一致しているならば,積$C=AB$は次のように区分けされる。$$
C=
\begin{bmatrix}
C_{11}&C_{12}&\cdots&C_{1r}\\
C_{21}&C_{22}&\cdots&C_{2r}\\
\vdots&\vdots& &\vdots\\
C_{p1}&C_{p2}&\cdots&C_{pr}
\end{bmatrix}$$
ただし,$C_{su}$は$(l_s,n_u)$型で,$$
C_{su}=\sum_{t=1}^q A_{st}B_{tu}\left(\vphantom{\sum} =A_{s1}B_{1u}+A_{s2}B_{2u}+\cdots+A_{sq}B_{qu}\right)
$$
である。
これを“覚えた”人がいて驚いたという話です。うわ,理系でもこんな人がいるんだあというようなお気持ちにさせられました。
これは覚えるというよりも,積の演算がwell-definedになるように考えれば,この命題を書き下せるようになるんじゃないかな。。。