Gelfond-Schneiderの定理
代数的数と超越数
複素数が代数的数であるとは, あるでない整数係数多項式が存在して, がの根となる, 即ちを満たすときにいう. そのような多項式が存在しないとき, を超越数と呼ぶ.
虚数単位は多項式の根であるから, 代数的数である. しかし, 円周率やネイピア数は超越数である.
との超越性については, 例えば次.
http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~ooura/pi_trn.pdf
リンク先を見てもらっても分かるとおり, 超越性の証明は大変複雑である. そのような中で, 超越数を人工的に簡単に生成できてしまうのがGelfond-Schneiderの定理なのである.
Gelfond-Schneiderの定理
を代数的数,を有理数でない代数的数としたとき, は超越数である.
この定理の歴史について少し話しておく. 1920年, Alexander Gelfondは代数的数, 正の非平方数に対してが超越数であることを示し, その後, 1930年にRodion Kuzmin(ロディオン・クズミン)が同じ状況下でが超越数であることを示した. 下の例に挙げたように, Kuzminの功績によりHilbert23の問題の第7問題のひとつ『は超越数か』が解決したことになる. そして1936年, Carl Siegel(カール・ジーゲル)が上の定理1を証明したのである.
は有理数ではなく, 多項式の根だから代数的数である. よって, は超越数である.
の超越性
さて, 本題に入ろうと思う. とはいえ, Gelfond-Schneiderの定理を用いれば非常に簡単に証明することができる.
Gelfond-Schneiderの定理と例1よりは超越数であり, Eulerの公式から
参考:オイラー博士の素敵な数式, ポール・J・ナーイン, 小山信也訳, 日本評論社