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Weierstrassの$\wp$函数ショートコース(2)

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函数の加法定理

(z)z03位の極を持つから、同じ数の零点がΔ内部に存在する。まず奇函数だから(z+2ω1)=(z)z=ω1を代入して(ω1)=0を得る。同様に(ω2)=(ω1+ω2)=0である。つまりω1,ω2,ω1+ω2(z)の零点を与える。以下この点での(z)の値を

e1=(ω1),e2=(ω2),e3=(ω1+ω2)

とする。

命題 以下が成り立つ。

  • e1,e2,e3は互いに異なる。
  • 4y3g2yg3=4(ye1)(ye2)(ye3)が成り立つ。

(証明)互いに異なることはf(z):=(z)erを考えればよい。実際f(z)=(z)よりf(ωr)=f(ωr)=0だから、ωrfの少なくとも2位の零点となる。しかしfの位数は2だからこれ以上の零点はなく、即ちe1e2,e3と異なることが分かる。他も同様である。

(z)2=4(z)3g2(z)g3z=ω1,ω2,ω1+ω2を代入すると4er3g2erg3=0を得る。これらが互いに異なる所与の多項式の根であることが分かるので、最高次係数を合わせると命題の式が成り立つ。

更に解と係数の関係より

e1+e2+e3=0,e1e2+e2e3+e3e1=g24,e1e2e3=g34

を得る。また(e1+e2+e3)2,(e1+e2+e3)3,(e1e2)(e2e3)(e3e1)等を計算すると

g2=2(e12+e22+e32),g3=43(e13+e23+e33),g2327g32=16(e1e2)2(e2e3)2(e3e1)2

を得る。

定理 u+v+w0に対し

|(u)(u)1(v)(v)1(w)(w)1|=0

が成り立つ。

(証明)(u),(v),(w)は互いに異なるとしてよい。連立方程式

a(u)+b=(u),a(v)+b=(v)

の根a,bを取り、f(z):=a(z)+b(z)とする。fは原点に3位の極を持つ位数3の楕円函数である。よってu,vそれとwという零点が存在する。楕円函数の性質より零点と極の和はmodΩで一致する。よってu+v+w0+0+0だからwwとなる。つまりwもまたfの零点である。a,bを消去すれば定理の式を得る。

(加法定理、倍各公式)一般のu,vに対して

(u+v)=14{(u)(v)(u)(v)}2(u)(v)

が成り立つ。特にvuとすれば

(2u)=14{(2)(u)(u)}22(u)

が成り立つ。

(証明)u+v+w0とする。定理の証明のa,bについて

g(z)=(a(z)+b)2(z)2=4(z)3+a2(z)2+(2ab+g2)(z)+b2+g3

とおくと、g(u)=g(v)=g(w)=0より(u),(v),(w)

4t3+a2t2+(2ab+g2)t+b2g3=0

の解である。解と係数の関係より

(u)+(v)+(w)=a24=14{(u)(v)(u)(v)}2

だが、(w)=(uv)=(u+v)より求める式を得る。

逆関数1について

定義 函数w(z)に対し、

{w;z}:={w(2)w}12{w(2)w}2=w(3)w32(w(2)w)2

Schwarz微分 という。

次の命題は計算すれば示せる。

命題 以下が成り立つ。

  • adbc0なら{w;z}={(aw+b)/(cw+d);z}が成り立つ。
  • {w;z}=0は、w=(az+b)/(cw+d)と表せることと同値である。
  • {w;z}+(w)2{z;w}=0が成り立つ。

補題 二階の微分方程式

d2vdz2+12Q(z)v=0

の解をa,bとする。w=b/aとすると{w;z}=Q(z)が成り立つ。

(証明)aw=bを逐次微分すると

aw=b,aw+aw=b,a(2)w+2aw+aw(2)=b(2),a(3)w+3a(2)w+3aw(2)+aw(3)=b(3)

となる。よって

w(3)w(2)=aw(3)aw(2)=b(3)aw(2)3aa3a(2)aww(2)a(3)aww(2),w(2)w=aw(2)aw=b(2)aw2aaa(2)aww

となるから、

w(3)w(2)32w(2)w=b(3)aw(2)32b(2)aw3a(2)aww(2)+32a(2)awwa(3)aww(2)

を得る。故に

w(3)w32(w(2)w)2=w(2)w(w(3)w(2)32w(2)w)=b(3)aw32b(2)w(2)a(w)23a(2)a+32a(2)aww(2)(w)2a(3)aww =1aw(b(3)a(3)w)3w(2)2a(w)2(b(2)a(2)w)3a(2)a

だが、a,bは微分方程式の解なので

a(2)a=12Q,b(2)a(2)w=12Q(baw)=0,b(3)a(3)w=12Q(baw)12Q(baw)=12Qaw

が成り立つ。これを代入すると

{w;z}=w(3)w32(w(2)w)2=Q

を得る。

y=(z)

(y)2=4(ye1)(ye2)(ye3)

を満たしていた。微分して上の式で両辺をそれぞれ割ると

2y(2)y=r=13yyer

となる。更に2yで割り、もう一度微分すると

y(3)(y)22(y(2))2y(y)4=12r=13y(yer)2

より

y(3)(y)32(y(2))2(y)4=12r=131(yer)2

を得る。

定理 P1上多価な函数z=1(y)は、2階の微分方程式

d2vdy+[14r=131(yer)2116(r=131yer)2]v=0

の解v1,v2の比v2/v1と等しい。

(証明)補題より{z;y}を計算すればよい。

{z;y}=1(y)2{y;z}=y(3)(y)3+32(y(2))2(y)4=12(y(2))2(y)4+12r=131(yer)2=12r=131(yer)218(r=131yer)2

より示される。

投稿日:20201120
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