函数の加法定理
はに位の極を持つから、同じ数の零点が内部に存在する。まず奇函数だからにを代入してを得る。同様にである。つまりがの零点を与える。以下この点でのの値を
とする。
命題 以下が成り立つ。
(証明)互いに異なることはを考えればよい。実際よりだから、はの少なくとも位の零点となる。しかしの位数はだからこれ以上の零点はなく、即ちはと異なることが分かる。他も同様である。
にを代入するとを得る。これらが互いに異なる所与の多項式の根であることが分かるので、最高次係数を合わせると命題の式が成り立つ。
更に解と係数の関係より
を得る。また等を計算すると
を得る。
定理 に対し
が成り立つ。
(証明)は互いに異なるとしてよい。連立方程式
の根を取り、とする。は原点に位の極を持つ位数の楕円函数である。よってそれとという零点が存在する。楕円函数の性質より零点と極の和はで一致する。よってだからとなる。つまりもまたの零点である。を消去すれば定理の式を得る。
系 (加法定理、倍各公式)一般のに対して
が成り立つ。特にとすれば
が成り立つ。
(証明)とする。定理の証明のについて
とおくと、よりは
の解である。解と係数の関係より
だが、より求める式を得る。
逆関数について
定義 函数に対し、
を Schwarz微分 という。
次の命題は計算すれば示せる。
命題 以下が成り立つ。
- ならが成り立つ。
- は、と表せることと同値である。
- が成り立つ。
補題 二階の微分方程式
の解をとする。とするとが成り立つ。
(証明)を逐次微分すると
となる。よって
となるから、
を得る。故に
だが、は微分方程式の解なので
が成り立つ。これを代入すると
を得る。
今は
を満たしていた。微分して上の式で両辺をそれぞれ割ると
となる。更にで割り、もう一度微分すると
より
を得る。
定理 上多価な函数は、階の微分方程式
の解の比と等しい。
(証明)補題よりを計算すればよい。
より示される。