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Legendre(ルジャンドル)変換について

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以下, $n\in \mathbb{N},\ |\cdot|$$\mathbb{R}^{n}$ に於けるEuclidノルム, $\cdot$ を標準内積とし, $B_{r}(a)$ を点 $a\in \mathbb{R}^{n}$ に於ける半径 $r>0$ の開球を表す.
Lagrangian(ラグランジアン)とHamiltonian(ハミルトニアン)の関係について,幾つか述べる.
以下, Lagrangian $L:\mathbb{R}^{n} \to \mathbb{R}$ を凸かつ強圧的なものとする. 則ち, 次の(1),(2)をみたすものとする.

\begin{align} \quad \tag{1} \qquad \qquad v \mapsto L(v) \quad は凸函数. \\ \tag{2} \qquad \qquad \lim_{|v|\to \infty}\frac{L(v)}{|v|} = +\infty \quad をみたす. \end{align}

Lagrangianの例

$\alpha>1$ として, $L(v)=\frac{1}{\alpha}|v|^{\alpha}, \ v \in \mathbb{R}$ とすると, この $L$ は(1),(2) をみたす.

このLagrangian $L$ に対して, Legendre(ルジャンドル)変換 $L^{*}$ を定義する.

Legendre変換

$L$ の Legendre変換 $L^{*}$ を,
\begin{align*}
L^{}(p) = \sup_{v\in \mathbb{R}^{n}} \bigl{ p\cdot v - L(v) \bigr}, \quad p \in \mathbb{R}^{n}
\end{align
}
で定義する.

$L^{*}$ の定義に於いて,右辺の $\sup$ は実際には $\max$ となる.

$\sup$$\max$ になる証明

$p \in \mathbb{R}^{n}$ を任意に固定する. 定義から,
\begin{align}
L^{
}(p)= \sup{v \in \mathbb{R}^{n}}\bigl{ p\cdot v - L(v) \bigr} \geq p\cdot 0 - L(0) = -L(0).
\end{align*}
となる. また, 任意の $v \in \mathbb{R}^{n}\backslash {0}$ に対して,
\begin{align}
p\cdot v -L(v)
&\leq |p||v|-L(v) \nonumber \
&\leq |v|\Bigl( |p|-\frac{L(v)}{|v|} \Bigr) \ \to \ -\infty \quad ({\rm as} \ |v| \to \infty) \quad (\because L は強圧的 ) \nonumber
\end{align}
従って, $\displaystyle{\lim
{|v|\to \infty} \bigl(p\cdot v -L(v)\bigr) = -\infty}$ が成り立つ. よって,
\begin{align}
{}^\exists R >0 \quad {\rm s.t.} \quad {}^\forall v \in \mathbb{R}^{n}, \ |v|>R \quad \Longrightarrow \quad p\cdot v -L(v) < -L(0)
\end{align
}
とできる. これより,
\begin{align}
\sup{v \in \mathbb{R}^{n}\backslash \overline{B}{R}(0)} \bigl{p \cdot v -L(v) \bigr}
\leq -L(0) &= p \cdot 0 -L(0) \nonumber \
&\leq \max{v \in \overline{B}{R}(0)} \bigl{ p\cdot v -L(v) \bigr} \quad (\because Lの連続性 ) \nonumber
\end{align}
$\therefore \displaystyle{ \sup{v \in \mathbb{R}^{n}\backslash \overline{B}{R}(0)} \bigl{p \cdot v -L(v) \bigr} \leq \max{v \in \overline{B}{R}(0)} \bigl{ p\cdot v -L(v) \bigr} }$ が成り立つ. 以上より,
\begin{align} \sup_{v \in \mathbb{R}^{n}} \bigl\{ p\cdot v -L(v) \bigr\} &= \sup \Biggl\{\sup_{v \in \mathbb{R}^{n}\backslash \overline{B}_{R}(0)}\bigl\{ p\cdot v -L(v) \bigr\},\ \max_{v \in \overline{B}_{R}(0)}\bigl\{ p\cdot v -L(v) \bigr\} \Biggr\} \nonumber \\ &\leq \max_{v \in \overline{B}_{R}(0)}\bigl\{ p\cdot v -L(v) \bigr\} \nonumber \\ &\leq \sup_{v \in \mathbb{R}^{n}} \bigl\{ p\cdot v -L(v) \bigr\} \nonumber \end{align}
となるので,
\begin{align*}
L^{}(p)= \max_{v \in \mathbb{R}^{n}}\bigl{ p\cdot v -L(v) \bigr}
\end{align
}
と $\max$ になる.

この Legendre変換により Hamiltonian $H:\mathbb{R}^{n}\to \mathbb{R}$ を定義する:

Hamiltonian

Lagrangian $L$ を凸かつ強圧的とする. Hamiltonian $H$ を次で定義する.
\begin{align}
H(p) = L^{*}(p), \quad p \in \mathbb{R}^{n}. \nonumber
\end{align}
つまり, Hamiltonian は Lagrangian の Legendre変換である.

以上より, Lagrangian から Hamiltonian を得た.逆に, Hamiltonian から Lagrangian を導く為に, 次の定理を考える.

Covex duality of Lagrangian & Hamiltonian.

Lagrangian $L$ を凸かつ強圧的とする. Hamiltonian $H$ に対して次が成り立つ.
\begin{align*}
&{\rm (i)} \quad H \ は凸かつ強圧的.\
&{\rm (ii)} \quad H^{}=L. \quad ( i.e. \ \ L^{**}=L.)
\end{align
}

[1]のp121,Theorem3 を参照

(ii)の証明中で, 前回の凸函数に関する不等式の記事 で紹介した凸函数の劣微分(劣勾配)に関する性質を用いることに注意したい.
このHamiltonian と Lagrangian の convex duality 性から, Hamiltonian を定義したときに,その Legendre変換を用いて次の様に Lagrangian が定義できることを示している:
\begin{align*} L(v) := H^{*}(v), \quad v \in \mathbb{R}^{n}. \end{align*}

[訂正]

例1の $|v|$ の指数 $\alpha$ が抜け落ちていた事及び強圧的の定義見切れていたので修正した. [2020,12/2]

参考文献:
  1. L.C. Evans, Partial Differential Equations, GSM 19, Amer. Math. Soc., 1998.
投稿日:20201120

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投稿者

偏微分方程式論/その他,備忘録

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