二次曲線の焦点の座標を係数から計算する
焦点座標という記事でapu_yokaiさんが一般の場合の楕円・双曲線の焦点の座標を計算されていました。
この記事に触発されまして、わたしは一般の場合における楕円の面積を載せようと思います。
平行移動と回転移動により標準形に持っていくこともできますが、ここでは積分で求めます。
楕円の式
直交座標系が設定されている平面上の二次曲線は一般に次のように表されます。
この記事では ii. の一般式の場合で計算を進めます。
この式はのように対称行列を用いて書くことができます。
対称行列と実数を次のように定義しておきます。
二次曲線が楕円であるための条件は次の通りです。
楕円の条件
が楕円になるための必要十分条件は、かつである。
また、この条件はかつと同値である。
証明は「二次曲線の分類」で検索すれば出てくると思いますのでここでは省略します。
[追記:の条件を載せているwebサイトはいろいろ見つかりますが、の方の条件を載せているwebサイトはあまりあまり多くないですね。でないとどうなるかを簡単に書いておくと、かつだとの左辺が常に正あるいは常に負となってしまって式を満たすが存在せず、かつだとを満たすはただ一つだけになります。※下に
追記の追記
を書きました。]
以降、この記事ではこの条件を満たしているとして計算を進めます。
楕円の面積 導出
をについて整理して解きます。
およびより、
となります。ここで、
です。
をの関数とみなす場合、,に注意して式変形の5行目を見ると、は上に凸で軸と2点で交わる放物線であることがわかります。
ここで、が軸と交わる2点をとおくと、
となります。これを用いるとの符号は次のようになります。
ならばは実数になるので、このとき楕円と軸に直交する直線は共有点を持ちます。
において軸と直交する直線は楕円と2点,で交わり、で軸と直交する直線は楕円と1点で接します。
楕円の面積はの範囲でとを結ぶ線分の長さを積分すると求まります。
楕円の面積をとすると、
となります。ここで
とおくと
なので、
です。
この積分は単位円の上半分なのでになることは明らかです。
ですが一応の計算も書いておくことにすると、とおくことで
となります。
よって、楕円の面積は
となって、 ii. の一般式での楕円の面積が求まりました。
また、i. の一般式の場合はを代入して整理すると次のようになります。
追記の追記(二次曲線の分類)
「かつだとの左辺が常に正あるいは常に負となってしまって式を満たすが存在せず、かつだとを満たすはただ一つだけになります。」
本文中に追記でこのように書きましたが、もう少し詳しく書いておきます。
簡単な説明 (のとき)
が成り立つときなので、の両辺にをかけて
としても問題ありません。を利用してこの式を変形すると、
とすることができます。
ここで、なので左辺は以上になります。
- 右辺が負のとき、この式を満たすが存在しないことは明らかです。
- 右辺がのとき、直線と直線の交点のみが式を満たします。
- 右辺が正のとき、点を中心とし、直線と直線が互いに共役直径となる楕円になります。
補足 (のとき)
①
かつとなる場合を見てみましょう。
を変形すると
となりますが、なので左辺は因数分解できて
となり、整理すると
となります。
- 右辺がのとき、直線と直線を合わせた2直線になります。
- 右辺がでないとき、点を中心とし、直線と直線を漸近線とする双曲線になります。
②
の場合でもならば同様の計算が可能です。
③
かつとなる場合は、
をに注意して変形すると
となります。
- 右辺がのとき、直線と直線を合わせた2直線になります。
- 右辺がでないとき、点を中心とし、直線と直線を漸近線とする双曲線になります。
さらに補足 (のとき)
①
かつとなる場合、
を変形すると
となります。
- のとき、放物線になります。
- ,のとき、式を満たすは存在しません。
- ,のとき、1直線になります。
- ,のとき、直線と直線を合わせた平行な2直線になります。
②
の場合でもならば同様の計算が可能です。
③
かつとなる場合、になるので2次の項がなくなってしまいます。
またはの場合は直線であり、の場合は図形を表しません。