この記事に出てくる証明は完全に間違っていました!!申し訳ない!!
以下の議論は成り立ちません!!
次の問題を考えます:
整数$X$をランダムにとる.$X \geq 0$となる確率はいくらか?
感覚的に,この問題の答えは$\displaystyle \frac12$になってくれると嬉しいです.そこで,そうなるような意味付けを考えたいです.
$0^0$そのものを定義することができなくても,$\displaystyle \lim_{x \to +0}x^x$を計算することはできます.これと同様のアプローチで,整数$X$をランダムにとることができなくても,$X$の分布を「$(\infty, \infty)$の一様分布(?)」のようなものに近づけることはできるのではないかという考え方です.
問題を次のように言い換えます.
離散確率変数の列$\{X_n\}$が次を満たす.
このとき,$\displaystyle \lim_{n \to \infty}P(X_n \geq 0)$はいくらか?
$$ \displaystyle \lim_{n \to \infty}P(X_n \geq 0) = a$$$$ \displaystyle \lim_{n \to \infty}P(X_n < 0) = b$$とおきます.$n$に関わらず$P(X_n \geq 0) + P(X_n < 0) = 1$なので,$a + b = 1$です.ここで,$\displaystyle \frac a b = 1$が成り立てば,$\displaystyle a = \frac12$がいえそうです.
$$\begin{align} \frac a b &= \lim_{n \to \infty}\frac{P(X_n \geq 0)}{P(X_n < 0)} \\ &= \lim_{n \to \infty} \frac{\displaystyle \sum_{k = 0}^\infty P(X_n = k)}{\displaystyle \sum_{k = -\infty}^{-1} P(X_n = k)} \\ &= \lim_{n \to \infty} \frac{\displaystyle \sum_{k = 0}^\infty P(X_n = k)}{\displaystyle \sum_{k = 0}^{\infty} P(X_n = -1 - k)} \\ &= \lim_{n \to \infty} \lim_{m \to \infty} \frac{\displaystyle \sum_{k = 0}^m P(X_n = k)}{\displaystyle \sum_{k = 0}^m P(X_n = -1 - k)} \\ &= \lim_{n \to \infty} \lim_{m \to \infty} \frac{\displaystyle \sum_{k = 0}^m \frac{P(X_n = k)}{P(X_n = 0)}}{\displaystyle \sum_{k = 0}^m \frac{P(X_n = -1 - k)}{P(X_n = 0)}} \\ &= \lim_{m \to \infty} \lim_{n \to \infty} \frac{\displaystyle \sum_{k = 0}^m \frac{P(X_n = k)}{P(X_n = 0)}}{\displaystyle \sum_{k = 0}^m \frac{P(X_n = -1 - k)}{P(X_n = 0)}} \\ &= \lim_{m \to \infty} \frac{\displaystyle \sum_{k = 0}^m 1}{\displaystyle \sum_{k = 0}^m 1} \\ &= \lim_{m \to \infty} 1 \\ &= 1 \end{align}$$
よって$\displaystyle \frac a b = 1$なので,$a = b = \displaystyle\frac12$となります.
「整数$X$をランダムにとったとき,$X \geq 0$となる確率」はこのように言い換えて$\displaystyle \frac12$とみなすことができるのではないでしょうか.