前提知識 : 確率
先ず, 何故私がこのような記事を執筆するに至ったのか, 少しばかりお話します.
始めに, 私が高校数学の各分野の中で, 最も苦手であると意識を持っているのが「確率」です. 教科書の言っていることは解りやすいのですが, 私の理解は甘いようで, 少し捻られると計算するべき量を誤ってしまうことが多々有ります. そこで, 今回は私の視点から確率という概念をいま一度眺め, 苦手意識を持つ者として, また現代の知恵に対して無知であるような者として, それなりに思考をしてみたという足跡を残してみたく思いたって, このような記事を書いています. そのため, 本記事は高校数学の確率分野を一通り学んだのに, 何だかもどかしい, 定義に忠実に従えているか不安を感じるという方に特に向いているかも知れません.
記事の構成については迷う所が有ったのですが, 結局は, 幾つかの問題を「ゆっくり」解くという方法にしました. 確率分野への理解のためにはとても大切な考え方であるように思うので, 宜しければ最後までお付きあいください.
本記事には横長の数式が多いため, スマートフォンの方は画面を横向きにすると読みやすく成るかも知れません.
ある地点から東, 北, 西のそれぞれの方角に三つの塔と, それぞれの塔に一本ずつ立っている旗が見える. 東の塔の旗は両面が白く, 北の塔の旗は片面が白く片面が赤く, 西の塔の旗は両面が赤く塗られている. ある方角に赤旗が見えたという情報のみが与えられているとき, その方角が西である確率は幾らか.
赤旗が見えているため北か西かの二択であり, 答えの確率は
事象
区別をするため, それぞれの旗に表裏を定める. 北の塔の旗については白塗りを表, 赤塗を裏と限定するが, 東の塔の旗および西の塔の旗については何れを表, 何れを裏と決めても差しつかえない.
与えられた条件から, 東の塔の旗の表面を見る事象, 東の塔の旗の裏面を見る事象, 北の塔の旗の表面を見る事象, 北の塔の旗の裏面を見る事象, 西の塔の旗の表面を見る事象, 西の塔の旗の裏面を見る事象をそれぞれ
表と裏が何れも
事象
与えられた条件から, 確率に関する一部を書きかえる. 以下のそれぞれは, 硬貨の表と裏が何れも
「硬貨を投げたとき, ある事象の集合
「硬貨を投げたとき, ある事象の集合
「硬貨を投げたとき, ある事象の集合
ここで, 確率の計算に当たって考えるべき根元事象は, 全ての場合
続いて,
問題文で与えられた情報から, 事象をこれよりも細かく場合分けする必要は無い.
答えるべきは確率
分子は, 本当に表が出る事象
分母について, 裏が出たときには表が出たときと真実は逆転するから, 二人の各々が「表が出た」と言うことは本当から嘘に変わり, 確率も
以上から, 答えは
確率をある図形の面積としての割合と見れば, 全事象の表す図形の面積を
例えば, 表と裏が何れも
先ほどの事象の集合
面積による表現
続いて, 全事象を面積が
分子の表現
同じ図形にて,
分母の表現
これらの図に従っても, 答えるべき確率は面積の比率として
硬貨を投げたとき, 表が出る事象を
簡潔に要約して, 以下の教訓に纏めておきます.
確率を計算するには, 同様に確からしい根元事象に分割して個数を数えよ.
確率は「面積」である.