完全なる趣味であり誰得感が半端ないですが,個人的に面白いと思った計算を残します.未定義概念も多くかなり雑に書かれていますがご容赦願いたいです.
I. Daubeciesが1988年の論文でTime- Frequency Localization Operatorなるものを導入しました.今回の内容は,それを含む一般の局所化作用素(Localization Operator)とWeyl量子化(擬微分作用素の一種)の関係式を導くものです.
「『短時間フーリエ変換をベースにした時間周波数解析』と『擬微分作用素をベースにした超局所解析』がある意味でつながっている」という実感を自分なりに得ることができました.
関数空間の枠組を明示していませんが,例えば,現れる関数が全てSchwartz急減少関数の空間に属するとすれば以下の計算は正当化できる...はずです.なお,関数
以下,常体となります.
短時間Fourier変換を以下で定める:
共役短時間Fourier変換は次で定める:
特に
Daubeciesの局所化作用素(localization operator)を次で定める:
これは短時間Fourier multiplierとも呼ばれる.また,
定義から直ちに次のことがわかる.
であることから明らか.
Daubecies局所化作用素の定義を
と書き直す.このとき
なので,
と計算できる.最後の等式ではWigner分布
を用いた表現にしている.
よって,
と表される.
以上をふまえて,Daubecies局所化作用素
と表現される.ここで
と計算される.以上の議論から,次の定理が得られる.
Daubeciesの局所化作用素
は,
を積分核に持つ積分作用素とみることができる.この式はシンボル
次が成り立つ:
上記
が成り立つことからわかる.
E. Cordero and L. Rodino. Short-time fourier transform analysis of localization operators. Frames and Operator Theory in Analysis and Signal Processing: AMS-SIAM Special Session, January 12-15, 2006, San Antonio, Texas, Vol. 451, p. 47, 2008.
Daubechies, Ingrid. "Time-frequency localization operators: a geometric phase space approach." IEEE Transactions on Information Theory 34.4 (1988): 605-612.