全域木とは連結グラフの部分グラフですべての頂点を共有するものをいう。グラフによってはきれいに求めることができる。それについていくつかの結果を述べたい。
連結グラフ
連結グラフ
抵抗器
抵抗器の例
抵抗器
抵抗器
が成り立つし、逆について、
も明らか。
直列の例
とするとき、直列について、
直列の値
抵抗器
並列の例
とするとき、並列について、
並列の値
抵抗器
抵抗器
として、リンクの全域木の個数は、
で与えられる。特に、リンクを作るときの
以下のリンクでは
が求める全域木の個数になる。
g7f6dftg
次がある意味で主定理になる。
抵抗器
が成立する。なお、
であるから、
例を出した方が分かりやすい。
キルヒホフ~
これらを使って次のグラフの全域木の個数を求めてみる。
格子
いわゆる格子である。これの実際の値は、サイクル行列定理を使えば即座に出せるが、抵抗器の考え方で地道に迫ることでその裏付けがしたい。
ステップ1
普通の正方形型グラフを用意する。全域木の個数は
ステップ2
単純に辺をつけ足しても全域木の個数は変わらないので(自明)、左のグラフもまた全域木の個数は
こうしてまず右のグラフの全域木の個数
こうしてできた連結グラフの2点を左の図のように取り、値で
g6t65fr56
やはり辺をつけ足しても全域木の個数は変わらないので(片方の点が孤立していればOK)、左のようにすると
r4t43t
次の回路の抵抗を計算する。
fg54y546y
青い矢印を
ゆえに、求める全域木の個数は100352個である。
で与えられる
同じ値になった。
自分で見つけたので参考文献とかはないです。シュプリンガーさんのグラフ理論かなんかの本でそれっぽい紹介があったかもしれないです。全域木の個数が分かるだけだし適用も小さいものに限られる地味な定理なので注目度は低いと思います。キルヒホフの証明は有限版のラプラシアンとか定義してやったような気がするんですけど忘れました。
直列と並列について。抵抗器の値から