こんにちは。MIT会です。今回の問題はMIT Integration Bee 2024-Finalが出典です。Finalですからね。お化け積分がたくさんでしょうね。(その中で自分が解けたやつを記事にしてるから化け物感が伝わらないかも)
では早速やっていきましょう。
\begin{align*} I&=\int_{0}^{\infty}\frac{\ln\left(2e^{x}-1\right)}{e^{x}-1}dx \end{align*}
ぱっと見ゼータ関数の積分表示を連想させる形ですね。分母とか特に。まあ、気にせずに解いていきましょう。
\begin{align*}
I&=\int_{0}^{\infty}\frac{\ln\left(2e^{x}-1\right)}{e^{x}-1}dx\\
&=\int_{0}^{1}\frac{\ln\left(\frac{2}{u}-1\right)}{\frac{1}{u}-1}\frac{1}{u}du\quad\because e^{-x}=u\\
&=\int_{0}^{1}\frac{\ln(2-u)-\ln{u}}{1-u}du\\
&=\int_{0}^{1}\frac{\ln(2-u)}{1-u}du-\int_{0}^{1}\frac{\ln{u}}{1-u}du\\
&=I_1-I_2
\end{align*}
$e^x$を含み、積分区間が$[0,\infty]$のときは$e^{-x}=u$と置くと区間がきれいになるので試す価値がありますね。実際、今回はそれが刺さりました。第一項目から計算しましょう。
\begin{align*}
I_1&=\int_{0}^{1}\frac{\ln(2-u)}{1-u}du\\
&=\int_{0}^{1}\frac{\ln(1+y)}{y}dy\\
&=\int_{0}^{1}\frac{1}{k}\sum_{k=1}^{\infty}\frac{(-1)^{k-1}}{k}y^kdy\\
&\overset{!}{=}\sum_{k=1}^{\infty}\frac{(-1)^{k-1}}{k}\int_{0}^{1}y^{k-1}dy\\
&=\sum_{k=1}^{\infty}\frac{(-1)^{k-1}}{k^2}\\
&=\frac{1}{2}\zeta(2)\\
&=\frac{\pi^2}{12}
\end{align*}
おや、本当にゼータ関数が出てきましたね。もちろんわかってて言いましたけどね?(すっとぼけ)では$I_2$も計算していきましょう。
\begin{align*}
I_2&=\int_{0}^{1}\frac{\ln{u}}{1-u}du\\
&=\int_{0}^{1}\frac{\ln(1-y)}{y}dy\\
&=\int_{0}^{1}\frac{1}{y}\sum_{k=1}^{\infty}\frac{(-1)^{k-1}}{k}(-y)^{k}dy\\
&=-\sum_{k=1}^{\infty}\frac{1}{k}\int_{0}^{1}y^{k-1}dy\\
&=-\sum_{k=1}^{\infty}\frac{1}{k^2}\\
&=-\zeta(2)\\
&=-\frac{\pi^2}{6}
\end{align*}
どっちもゼータ関数でしたね。こうなるなら、積分をばらさずに解く方法があったのかもしれません。まあ、解ければいいですね!最後にこれらから定まる$I$を計算して終わりましょう。
\begin{align*}
I&=I_1-I_2\\
&=\frac{\pi^2}{12}+\frac{\pi^2}{6}\\
&=\frac{\pi^2}{4}
\end{align*}
お疲れ様でした。自分が書いている記事の中では計算としては一番楽な積分だったと思います。置換が思いつかなければ一生解けない代物だとは思いますが。今回の積分では「$e^{x}$が被積分関数にあり、積分区間が$[0,\infty]$なら$e^{-x}=u$を試す価値がある」ということを学べましたね。今更ですが、今回はゼータ関数の特殊値を無言で用いていますね。じゃあ次回はそれらの証明でもしましょうか。ほな、さいなら!