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群準同型定理の群作用による解釈

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群準同型定理は群論のおいて非常に重要な定理であって,群論をやるうえでの「常識」といえるものの一つだと思う.いくつか同値な言い換えがあるが,この記事では次の形の証明を群作用を用いて解釈してみる.

群準同型定理

G,Gに対して全射準同型ρ:GGがあるとする.このとき,H=kerρとすると同型ψ:G/HGが存在する.

証明にあたって使用するのは,軌道-安定化群定理とよばれる等式
|Gx|=|G/StabG(x)|
と,その集合間の全単射ϕ:GxkkStabG(x)である.

GからGへの作用を,gG,xGとしてxρ(g)xで定める.このとき,ρが全射だったから,xGに対して
Gx=ρ(G)x=Gx=G,StabG(x)={gG:ρ(g)x=x}={gG:ρ(g)=1(G)}=kerρ(=H)
なので,軌道-安定化群定理より全単射ϕ:GxxHG/Hが存在する.ϕ(1)は当然G/Hの単位元に移されていて,Hρの核,すなわちGの正規部分群だから
ϕ(x)ϕ(y)=xHyH=xyHH=xyH=ϕ(xy)
となって群準同型である.したがってϕは全単射な群準同型だから,同型である.よって定理のψとしてϕ1を使えば,求めるものになっている.

通常群準同型定理では単射性を示す必要があるが,全単射が存在することを軌道-安定化群定理に押し付けることができるというのはあまり知らない人が多いと思ったので,証明として書き下してみた.気が向いたら第n同型定理(n=1,2,3)なども記事にしてみようと思う.

投稿日:417
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