ここでは東大数理の修士課程の院試の2025B04の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
体$K$を
$$
K=\mathbb{Q}\left(\sqrt{2+\sqrt{2}},\sqrt{3+\sqrt{3}}\right)
$$
とする。次の問いに解答しなさい。
以下の答案では、基礎体を明言せずに「ガロア拡大」「ガロアである」などいった場合、全て$\mathbb{Q}$上ガロアであることを指すものとする。
(3)では$G_2$が二面体群になった時点で$G_3$は四元数群になるだろうと思っていたので、四元数群の有名な表示になることを示しましたが、$G_2$と$G_3$に群論的な違いがあることを述べることもできます。例えば$G_2$は位数$2$の元を$5$つ持つのに対し、$G_3$は位数$2$の元を$1$つしか持ちません。なので二面体群や四元数群がどうこう以前に$G_2$と$G_3$の間には同型が取れないことがわかります。「四元数群$\neq$二面体群」という事実に頼っていない(それどころか実質的にこれを示している)ので、院試の解答としてはこちらの方法の方が適切かもしれません。