$D$を$\mathbb{C}$内の領域,$E$を$D$の閉集合とし,$D \setminus E$がまた$\mathbb{C}$内の領域になっているとする。
$f \colon D \setminus E \to \mathbb{C}$を$D \setminus E$上の正則関数とし,$z_0$を$E$の孤立点とする。
このとき,$z_0$を含むような$D$のある開集合$U$が存在して,$U \cap E = \{z_0\}$, すなわち,$U \setminus \{z_0\} \subset D \setminus E$が成り立つ。
上の状況で,以下の2条件は同値である。
$\lim_{z \to z_0} |f(z)| = + \infty$とする。
必要であれば$U$を小さく取り替えることにより,$U \setminus \{z_0\}$上$f(z) \neq 0$であるとしてよい。
$g(z) = 1/f(z)$ $(z \in U \setminus \{z_0\})$と置き,$g(z_0) = 0$と定めることで,$U$上連続かつ$U \setminus \{z_0\}$上正則な関数$g \colon U \to \mathbb{C}$が得られるが,これは$U$上正則である。
したがって,$z_0$を含むような$U$のある開集合$V$と$V$上の正則関数$\tilde{h} \colon V \to \mathbb{C}$, および正の整数$k$が存在し,$V$上
$$ g(z) = (z - z_0)^k \tilde{h}(z) \text{, } \tilde{h}(z_0) \neq 0$$
が成り立つ。
必要であれば$V$を小さく取り替えることにより,$V$上$\tilde{h}(z) \neq 0$であるとしてよい。
このとき,$V \setminus \{z_0\}$上
$$
f(z) = \frac{1}{(z - z_0)^k} \frac{1}{\tilde{h}(z)} \text{, }
\frac{1}{\tilde{h}(z_0)} \neq 0
$$
が成り立つ。
$f, g \colon D \to \mathbb{C}$を$D$上の正則関数とし,$E$を$g$の零点全体からなる集合とする。
このとき,$f$を$g$で割った商$h = f / g$は有理型関数として次のように定義される。
($f = 0$については$f/g = 0$と約束する。)
有理型関数同士の積や商も,上の例と同様にして定義される。
$\mathbb{C}$内の領域$D$上の有理型関数は2つの正則関数の商である。
$(h, E)$を$D$上の有理型関数とする。
極$z \in E$の位数を$k_z$としたとき,$z$たちを$k_z$位の零点に持つような正則関数$g \colon D \to \mathbb{C}$が存在する。(ワイエルシュトラスの定理)
$f = g h$と置くと,$f$は$D$上正則であり,$h = f/g$が成り立つ。
$D$を$\mathbb{C}$内の領域とする。
$D$の部分集合$E$が$D$内に集積点を持たないとき,$D \setminus E$もまた$\mathbb{C}$内の領域である。
$E$が$D$内に集積点を持たないとき,$E$は$D$の閉集合である。
したがって,$D \setminus E$は$D$の開集合であり,$\mathbb{C}$の開集合でもある。
$z_0, z_1 \in D \setminus E$, $z_0 \neq z_1$とする。
$D$は弧連結なので,ある同相写像
$$ \gamma \colon [0, 1] \to C = \gamma ([0, 1]) \subset D$$
が存在して$\gamma (0) = z_0$, $\gamma (1) = z_1$となる。
一方,$E$は$D$の離散部分集合なので,任意の$z \in E$に対し,$z$を含むような$D$のある開集合$U_z$が存在して$U_z \cap E = \{z\}$となる。
このとき,
$$
\mathcal{U} =
\{ U_z \cap C \in \mathcal{P} (C) \mid z \in E \} \cup \{ (D \setminus E) \cap C \}
$$
はコンパクト空間$C$の開被覆となる。
$\mathcal{V}$を$\mathcal{U}$の有限部分被覆とすると,$C \cap E$から$\mathcal{V}$への単射が構成できる。
($z \in C \cap E$に対し,$z$を含むような$\mathcal{V}$の元を対応させればよい。)
したがって,$C \cap E$は有限集合である。
$\gamma$の経路を変更して$1$点$z \in C \cap E$を回避することは容易なので,そのような操作を有限回繰り返して,$z_0$から$z_1$を$D \setminus E$内で結ぶことができる。
これは$D \setminus E$が弧状連結であるということに他ならない。
$\{z_n\}_{n=1}^N$ $(N \leq + \infty)$を$D$の相異なる点からなる点列とし,$z_n$たち全体からなる集合が$D$内に集積点を持たないとする。
$k_n$たちを正の整数とする。
このとき,以下の条件を満たすような$D$上の正則関数$h \colon D \to \mathbb{C}$が存在する。