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大学数学基礎解説
文献あり

ベルトランの逆理

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今回はベルトランのパラドックスについて見ていきたいと思います.ベルトランのパラドックスとは,半径が1の円に無作為に一本の弦を引くとき,その長さが内接する正三角形の一辺の長さ$\sqrt{3}$より長くなる確率はいくらか,というものです.これに関してちょっと考察をしてみました.

無作為に一本の弦を引くというのがちょっとあいまいなところがパラドックスを引き起こす原因ですので,この記事ではきちんと定式化しておきます.

円周上の点を2つランダムにとってきて,2点を結ぶ線分を引く.

とします.

失敗談

ランダムに点を取るために私がまず思いついたのが,円周上の一様分布を用いて考察するということでした.この場合,確率密度関数を用いて$P(x)=1/(2\pi)$とするのが自然でしょう.しかし,よく考えてみれば,これは”点”に関しては何も言っておらず,"$dx$"という微小区間についてその微小区間が選ばれるのが$dx/(2\pi)$という確率であるということを意味します.これでは点の解析はできません.

解析

じゃあどうするか.離散化して極限を取ることを考えます.ケーキのように円周を$n$等分して点を配置します.すると,これらの点を使って引ける弦の数は有限です.なので確率が求められるというわけです.あとは$n$を無限大に飛ばせばよいです.実際にやってみましょう.

状況は同じなので,片方の点を固定して,もう一方の点がどこにあるかで確率を求めます.もう一方の点は片方の点から$2k\pi/n $ラジアン($k$は整数で$0\leq k\leq n-1$)だけ離れている点とします.弦の長さは余弦定理を用いて$\sqrt{2-\cos (2k\pi/n)}$と求められるので,これが$\sqrt{3}$よりも長いという条件から,確率は大体$\dfrac{[n/3]}{n}$となります([]はガウス記号).なので,$n$を無限大にすれば$1/3$に近づきます.

思い

参考文献には議論の出発点となる確率空間が異なるので結果も異なって当たり前と書かれていて,私はなんだかモヤモヤしたので,記事を書きました.解析のところはかなり大ざっぱにやったので正確ではないかもしれませんが,まぁお気持ちということで.$1/3$ではない他の確率になってしまうようなモデルでは同じ重みで計算できていないと思います.

参考文献

[1]
江沢洋・中村徹, ブラウン運動
投稿日:331
OptHub AI Competition

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投稿者

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