0
現代数学解説
文献あり

特異点論入門〜これほど簡単な入門記事は多分ない〜part3

70
0
$$\newcommand{defa}[0]{\overset{\text{def}}{\Longleftrightarrow}} \newcommand{defe}[0]{\overset{\text{def}}{=}} \newcommand{K}[0]{\mathcal{K}} \newcommand{keq}[0]{\sim_{\scriptsize{\K}}} \newcommand{Ker}[0]{\mbox{Ker}} \newcommand{m}[0]{\mathfrak{m}} \newcommand{R}[0]{\mathcal{R}} \newcommand{req}[0]{\sim_{\scriptsize{\R}}} $$

ホダイ$\times$キュウサイ

休載してました

冬は乾燥するので,喉が乾燥しやすくなっていますが,
喉が乾燥する$\rightarrow$喉腫れる$\rightarrow$咳出る$\rightarrow$咳き込みによる筋肉痛
という無限有限地獄で苦しんでました
皆さんは保湿をしたり暖かくしたりして越冬してください.
(※という前書きを書いていたのに更新が遅くなったが故に冬も大団円の3月に寒中見舞いしてる馬鹿)(というかもう既に暖かくてダウンジャケット着ない日々)

さて,今回の特異点論入門は「Matherの補題です」
※今回の内容は多様体の基礎知識を仮定しています

お母さんじゃないのよ

Matherの補題

$m:G\times M\to M$を群$G$の多様体$M$への滑らかな作用とし,$P\subset M$:連結な部分多様体とする.このとき,
$P$が1つの$G$-軌道に含まれる$\Leftrightarrow \begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} (a):T_{x}(G\cdot x)\supset T_{x}P (\forall x\in P)\\ (b):\dim T_{x}(G\cdot x)\text{が$x\in P$によらず一定} \end{array} \right. \end{eqnarray} $

この定理を書きながら思いました.
Matherさん,絶対あだ名はママだよな

さてこの定理の使い所を考えていきましょう.そもそも$x,y\in M$が同値であるとはどんな時でしょうか?
$G=K(:=D_{n}\rtimes M_{n,p})$or$R$とする.
(ただし$R:=D_{n}$で,$D_{n}\times E_{n,p}\rightarrow E_{n,p};(h,f)\mapsto f\circ h$を導く群)
$P$:$x$$y$を結ぶ道
$P\subset\exists G$-軌道ならば,$x\sim y$と言えるわけです.
(体感としては具体的に$f$$g$が同値かどうか調べるというよりは,命題の証明に使える(まさに補題!!)という印象です)

これからMatherの補題を使う(と思う)所
  • 有限決定性についての証明
  • 重み付き同次多項式についてのHilbert多項式と$\R$-同値類の関係の証明

これらの証明に有用だということを念頭に、Matherの補題を証明していきます.

ごめんなさい!!割と長いし難しいと判断したので省略します!!
詳しい証明は参考文献の「Topics on Real and Complex Singularities(Alexandru Dimca)」をご参照ください、、、

$M=\mathbb{R}^{2}$,$G=\left\{\left. \begin{eqnarray} \left( \begin{array}{cc} a & b \\ 0 & c \end{array} \right) \end{eqnarray}\right| ac\neq0\right\}\subset GL(2,\mathbb{R})$
$m:G\times M\to M$:群作用
この時, 以下を示せ

  • 3種類の軌道しか存在しない
  • $P=\{(x,y)\in M|\ y-(x-1)^{2}=0\}$$M$の連結な部分多様体で定理1の条件$(a)$を満たすが, 1つの軌道に含まれてはいない

定理1の条件$(b)$を満たすが,条件$(a)$を満たさない群作用と軌道の具体例を考えよ
(上の例とは別なものを考える必要があります)

  1. $x\in M$について
    ${}^{t}x=(0,0)$のときは自明に軌道は原点$O$のみ
    ${}^{t}x=(1,0)$のとき軌道は$G\cdot x=\{(a,0)|a\neq0\}$
    $x\in M\setminus\{(\alpha,0)|a\in\mathbb{R}\}$のとき$x=(\alpha,\beta)$とする(ただし,$\beta\neq0$).このとき,$G\cdot x=\{(a\alpha+b\beta,c\beta)|ac\beta\neq0\}=\{( \gamma ,\delta)|\delta\neq0\}$である.
    !FORMULA[41][36120][0]の軌道 $0$の軌道
    !FORMULA[42][36120][0]以外の!FORMULA[43][38352][0]軸上の点の軌道 $0$以外の$x$軸上の点の軌道
    !FORMULA[44][38352][0]軸以外の点の軌道 $x$軸以外の点の軌道
  2. 曲線$C:y-(x-1)^2=0$について,$\forall p=(x,y)\neq(1,0)\in M$を取ると,$p$$G$の作用によってどの方向にも行けるので$T_{p}(G\cdot p)=\mathbb{R}^{2}$(ざっくり説明なので,しっかりした理由を考えてみてください).また$(1,0)$の接空間$T_{(1,0)}\{(a,0)|a\neq0\}$$\mathbb{R}$である.$C$の各点における接ベクトルを考えれば,条件$(a)$を満たす.しかし,$(1,0)$$C\setminus\{(1,0)\}$は違う明らかに軌道に入る.(確かに条件$(b)$$(1,0)$における接空間の次元が他と異なりますね!)
    !FORMULA[59][-1291425728][0] $y-(x-1)^2=0$
  3. ヒント:$\mathbb{R}^{2}$において, $0$の軌道の接空間の次元1として,他の軌道は全て1とするようなモノを考えると良い

まとめ

  • Matherの補題
  • 証明は飛ばしましたが, 具体例を持って理解しましたね??!!(強引)
    今回は雑になってしまって申し訳ないです、、、
    次回「コレ、サービスの有限決定性です」

次を読む

参考文献

[1]
Alexandru Dimca, Topics on Real and Complex Singularities, Advanced Lectures in Mathematics, Springer Nature, 1981
投稿日:33
更新日:33
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。

投稿者

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中