以前書いた「Fibonacci数の逆数和」では, Fibonacci数の逆数和および平方の逆数和についての以下の結果を紹介した. 以降, $\lfloor \quad \rfloor$は床関数とする.
自然数$n$に対して,
(i) $\displaystyle\
\left\lfloor \left(\sum_{k=n}^{\infty}\frac{1}{F_{k}} \right)^{-1}\right\rfloor= \begin{eqnarray}
\left\{
\begin{array}{l}
F_{n-2}, (for\; even\; n);\\
F_{n-2}-1, \ (for\; odd\; n).
\end{array}
\right.
\end{eqnarray}$
(ii) $\displaystyle \left\lfloor \left(\sum_{k=n}^{\infty}\frac{1}{F_{k}^2} \right)^{-1}\right\rfloor=\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} F_{n-1}F_{n}-1, (for\; even\; n);\\ F_{n-1}F_{n}, \;\;\ (for\; odd\; n). \end{array} \right. \end{eqnarray}$
上記と同じ雰囲気を持つ無限乗積版も見つけているので紹介しておこう.
自然数$n \geq3$に対して,
(i)$\displaystyle\ \left\lfloor \left(1-\prod_{k=n}^{\infty}\left(1-\frac{1}{F_{k}} \right)\right)^{-1}\right\rfloor=F_{n-2}$.
(ii) $\displaystyle \left\lfloor \left(1-\prod_{k=n}^{\infty}\left(1-\frac{1}{F_{k}^2} \right)\right)^{-1}\right\rfloor=\begin{eqnarray} \left\{ \begin{array}{l} F_{n-1}F_{n}-1, (for\; even\; n);\\ F_{n-1}F_{n}, \;\;\ (for\; odd\; n). \end{array} \right. \end{eqnarray}$
(as Advanced problem H-734)
この命題1は先の右辺がほとんど同じであるのが面白い.
・H-734の問題, The Fibonacci Quarterly 51.1(2013)
・H-734の解答, The Fibonacci Quarterly 53.1(2015)
タイの数学者Kantaphon Kuhapatanakulたちは, 命題1(i)のFibonacci数をTribonacci数に代えて新しい結果を得ている (文献[1]). このタイプの式については, この記事に書かれているものと[1]以外は見たことがないので, まだ研究の余地が十分ある. どなたか関連する研究をしてみませんか?
H-734の証明と同様の手法を使うと, 次の命題2を示すこともできる.
自然数$n \geq2,\ m \geq2$に対して,
$\displaystyle \left\lfloor \left(1-\prod_{k=n}^{\infty}\left(1-\frac{1}{F_{mk}} \right)\right)^{-1}\right\rfloor=F_{mn}-F_{m(n-1)}$.
最後にタイプは異なるが, Fibonacci数の4乗の逆数を含む美しい無限乗積も見つけているので紹介する.
$\phi=\frac{1+\sqrt5}{2}$ (黄金数)とする. このとき,
$\displaystyle \prod_{n=3}^{\infty}\left(1-\frac{1}{F_{n}^4} \right)=\frac{ \phi^5}{12}.$
(as Elementary problem B-1220)
右辺がきれいな形になっているのがとても気に入っている. 証明は難しくない.
・B-1220の問題, The Fibonacci Quarterly 55.4(2017)
・B-1220の解答, The Fibonacci Quarterly 56.4(2018)