今度は, お気に入りの積分の解説を書きます.この積分自体は MathStackExchangeさんで見つけたものなのですが, 証明は自分で考えたので, お気に入りです!
∫0∞sin(x2)sin(x−2)dx=14π2(e−2+sin2−cos2)
(証明)まず, 次の補題を示します.
〈補題〉∫−∞∞f(x)dx が収束するとき, ∫−∞∞f(x−1x)dx=∫−∞∞f(x)dx が成り立つ.
(補題の証明)
∫−∞0f(x−1x)dx=∫0∞f(x−1x)dxx2
なので, (x↦−1xと置換しました)
∫−∞∞f(x−1x)dx=∫0∞f(x−1x)(1+1x2)dx=∫−∞∞f(x)dx
となります. (x−1x↦xと置換しました) □
この補題に注意して変形していきます.
∫0∞sin(x2)sin(x−2)dx=12∫0∞{cos(x2−1x2)−cos(x2+1x2)}dx
右辺の第i項の積分をIiとおきます. (i=1,2)
まずI2は,I2=12∫−∞∞cos{(x−1x)2+2}dx=∫0∞cos(x2+2)dx=12π2(cos2−sin2)
次にI1は,I1=Re∫0∞exp{i(x2−1x2)}dx
ここで x=eiπ4z と置換すると,
I1=Reeiπ4∫0e−iπ4∞exp{−(z2+1z2)}dz
ただし区間 (0,e−iπ4∞) とは, z=e−iπ4t (t:0→∞) と積分することを表します.
Rを実数とし, 複素数平面上で 点0,R,Re−iπ4 を頂点とする, 中心角 π4 の扇型の積分路を考えます.
すると, その弧に沿った積分はR→∞で0に収束するので, 留数定理より∫0e−iπ4∞exp{−(z2+1z2)}dz=∫0∞exp{−(x−1x)2−2}dx=e−2∫0∞exp(−x2)dx=π2e2
従って I1=12e2π2 がわかります.
以上より,
∫0∞sin(x2)sin(x−2)dx=12(I1−I2)=14π2(e−2+sin2−cos2)
です.
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