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ハーツホーン解答例

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この記事ではハーツホーンの演習問題を順番に解いていきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。

1. 多様体

1.1. アファイン多様体

1.1.
  1. $Y$を平面曲線$y=x^2$、つまり$f(x,y)=y-x^2$の零点集合とする。このとき関数環$A(Y)$$1$変数多項式環$k[t]$に環同型であることを示しなさい。
  2. $Y$を平面曲線$1=xy$、つまり$f(x,y)=xy-1$の零点集合とする。このとき関数環$A(Y)$$1$変数多項式環$k[t]$に環同型ではないことを示しなさい。
  3. $f$$k[x,y]$の既約$2$次多項式とし、$W$$f$によって定義される$2$次曲線とする。関数環$A(W)$は(1)(2)で挙げたいずれかの$A(Y)$と同型になることを示し、どのような場合にどちらと同型になるかも述べなさい。
  1. まず
    $$ A(Y)=k[x,y]/(y-x^2) $$
    である。環同型
    $$ \begin{array}{ccc} A(Y)&\to&k[t]\\ g(x,y)&\mapsto&g(t,t^2) \end{array} $$
    があるから、結果が従う。
  2. $k[x,y]/(xy-1)\simeq k\left[x,\frac{1}{x}\right]$$k[t]$の間に環同型が取れないことを示せば良い。もし環同型$k\qty[x,\frac{1}{x}]\simeq k[t]$が取れたとすると、$x$の像は$k[t]$の定数以外の可逆元になるが、そのようなものは存在しないので結果が従う。
  3. 適切に座標変換を行うことで、$f$$2$次の部分は$x^2$ないし$xy$であるとして良い。また$x$ないし$y$をいくつかずらすことで$f(x,y)=x^2-ay-b$ないし$f(x,y)=xy-a$の場合を考えればよい。いずれの場合も$f$の既約性から$a\neq0$である。前者の場合は対応$(x,y)\mapsto(t,\frac{t^2-b}{a})$によって同型$A(W)\simeq k[t]$が、後者の場合対応$(x,y)\mapsto(t,\frac{a}{t})$によって同型$A(W)\simeq k[t,\frac{1}{t}]$が成り立っている。
1.2. 捻れ$3$次曲線

$Y\subseteq \mathbb{A}^3$を集合
$$ Y=\left\{(t,t^2,t^3)\in\mathbb{A}^3\middle|t\in k\right\} $$
とおく。$Y$$1$次元アファイン多様体であることを示しなさい。またイデアル$I(Y)$の生成元を求めなさい。また環同型$A(Y)\simeq k[t]$が成り立つことを示しなさい。

まず
$$ Y=\{(x,y,z)\in \mathbb{A}^3|x^2-y=x^3-z=0\} $$
であるから代数的集合である。ここでイデアル$I(Y)={\color{Red}(x^2-y,x^3-z)}$である。これはこのとき対応$(x,y,z)\mapsto(t,t^2,t^3)$により同型$A(Y)\simeq k[t]$が取れるから、$I(Y)$$k[x,y,z]$の素イデアルであり、よって$Y=ZI(Y)$は既約である。よって$Y$はアファイン多様体である。
 最後に$Y$$1$次元であることを示す。$k[t]\simeq k[x,y,z]/I(Y)$であったから、$k[x,y,z]$に於いて$(x^2-y,x^3-z)$を含む素イデアルが極大イデアルしかない。よって$Y$$1$次元である。
 以上で示したいことが全て示せた。

1.3.

$Y$
$$ Y:=\{(x,y,z)\in\mathbb{A}^3|x^2-yz=x(z-1)=0\} $$
とする。これは$3$つの既約成分の和集合で表せることを示しなさい。

まず
$$ Z_1=\{(0,0,z)\in\mathbb{A}^3\} $$
$$ Z_2=\{(0,y,0)\in\mathbb{A}^3\} $$
$$ Z_3=\{(t,t^2,1)\in\mathbb{A}^3\} $$
とおく。各成分に対応する素イデアルは
$$ I(Z_1)=(x,y) $$
$$ I(Z_2)=(x,z) $$
$$ I(Z_3)=(x^2-y,z-1) $$
である。

1.4.

ザリスキ位相空間$\mathbb{A}^2$と積位相空間$\mathbb{A}^1\times\mathbb{A}^1$は同相でないことを示しなさい。

$\mathbb{A}^1\times\mathbb{A}^1$の開集合は積位相の定義から
$$ \mathbb{A}^1\backslash\{a_1,\cdots,a_n\}\times \mathbb{A}^1\backslash\{b_1,\cdots,b_m\} $$
の形の集合から生成される。そしてこの補集合は
$$ \left(\{a_1,\cdots,a_n\}\times\mathbb{A}^1 \right)\cup \left(\mathbb{A}^1\times\{b_1,\cdots,b_m\}\right)) $$
である。これにより$\mathbb{A}^1\times\mathbb{A}^1$の任意の点$p=(p_1,p_2)$に於いて、その点を通る既約閉集合は一点集合と全空間を除けば
$$ \{p_1\}\times\mathbb{A}^1 $$
$$ \mathbb{A}^1\times\{p_2\} $$
$2$つである。一方$\mathbb{A}^2$の任意の点$p=(p_1,p_2)$においては
$$ a(x-p_1)+b(y-p_2) $$
の形で表される多項式の零点集合は全て$p$を通る既約閉集合である。以上から$\mathbb{A}^2$$\mathbb{A}^1\times\mathbb{A}^1$の間に同相は存在しない。

1.5.

$k$代数$B$に対して、以下同値であることを示しなさい。

  1. ある$n$に対して、$B$$\mathbb{A}^n$のある代数的集合のアファイン座標環に同型である。
  2. $B$は冪零元を持たない有限生成$k$代数である。

※現在作成中

投稿日:916
更新日:916
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藍色日和
藍色日和
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