ここでは東大数理の修士課程の院試の2024B06の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2024B06
の開円板上のリーマン軽量
を考える。
- にで定まる向きを入れたとき、の面積形式を求めなさい。
- をとり、写像をで定める。積分
を計算しなさい。 - に対して、以下の条件
- あるが存在して、は級関数に拡張される。
を満たす写像全体の為す集合をとおく。また
とおく。このとき最小値
が存在するためには、であることが必要充分であることを示しなさい。
- 定義通り計算することで
である。 - まず一般に
である。ここでに対しであるとき
である。 - 原点からに行く曲線をとり、曲線を
とおく。このとき常にが成り立っているから、これによってを最小にする曲線は(存在するとすれば)その像を直線上に持つ。いま像を直線上に持つがを満たしたとすると
である。以上からがの元を動くとき、上でを結ぶ直線が引ければの最小値が存在し、引けなければ存在しないことが従う。つまりの最小値が存在するには、を満たすことが必要充分である。