ここでは東大数理の修士課程の院試の2024B10の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
解答と問題を上げる前にこの問題ではフーリエ変換とその性質をフルに使っていくのでそのおさらいをします。
絶対可積分関数
で定める。
以下フーリエ変換の性質を述べていきます。但し
と定義します。
これらの証明は色々なところに転がっているので省略します。フーリエ変換のおさらいは以上です。
ここから問題の証明......といきたいところですがもう一つ補題を示します。
任意の
が成り立つ。この不等式の等号が成立するのは
初めに
を満たすようにとる。このとき
であるから不等式が示せた。そしてこの不等式の等号が成り立つには固定した
を満たすことが必要充分であることがわかり所望の結果が従う。
ここから問題を述べ、それを示していきます。
但し
と定義し、また条件(i)に於いて
まず補題1(2)(3)を用いることで、不等式
が成り立っていることがわかる。よって(i)は最後の不等式が実は等号になっていることと同値である。ここで補題1(1)より
であるから、補題2と合わせて、上の不等式に於ける等号が成立するためには、上記の
が満たされていることが必要充分であることがわかる。よって(i)と(ii)の同値性が示せた。