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数学における『文章』に関する基本的なラベル
$$
\begin{align}
&\text{記法/記号/表記【Notation】}\\
&\text{以後どう書くかの取り決め。例:$f(x):=x^2$など。}\\
\\
&\text{用語【Terminology】}\\
&\text{呼び名の約束。例:「〜を〜と呼ぶ」。}\\
\\
&\text{注意/注/断り【Remark / Note】}\\
&\text{誤解しやすい点、例外、落とし穴、補足事項などを述べる。}\\
\\
&\text{例【Example】}\\
&\text{定義や主張の使い方・意味合いを、具体例で示す。}\\
\\
&\text{反例【Counterexample】}\\
&\text{一般には成り立たないことを示す具体例。通常は$1$つで十分なことが多い。}\\
\\
&\text{補足/直観/解説【Supplement / Intuition / Commentary】}\\
&\text{形式的な定義・証明の背景、意味、イメージを説明する。}\\
\\
&\text{演習/練習問題【Exercise】}\\
&\text{読者が手を動かして理解を深めるための問題。}\\
\\
&\text{約束/規約【Convention】}\\
&\text{以後の議論で一貫して採用する前提・取り決め。例:$0\in\mathbb N$とする等。}\\
\\
&\text{略記【Abbreviation】}\\
&\text{見出し名などの略号。例:Def.、Thm.、Prop.、Lem.、Cor. など。}\\
\end{align}
$$
数学における『定義』そのものに関する重要語
$$
\begin{align}
&\text{定義【Definition】}\\
&\text{新しい用語・記号に、曖昧さのない意味を与えるもの。}\\
\\
&\text{無定義用語【Undefined Term / Primitive Notion】}\\
&\text{これ以上ほかの言葉で定義せず、基本語彙として採用する概念。}\\
\\
&\text{全体集合・台集合・議論の対象領域【Universe】}\\
&\text{その節・議論全体で「すべてここに属する」と暗黙に置く母集合。}\\
\\
&\text{定義域/全体集合【Domain / Universe】}\\
&\text{関数の入力の集合、あるいは変数が動く範囲として指定する集合。}\\
\\
&\text{良定義【Well-defined】}\\
&\text{定義が矛盾せず、与え方によらず一意に値が定まること。}
\end{align}
$$
数学における『主張(真偽が決まる文)』に付く名前
$$
\begin{align}
&\text{命題【Proposition / Statement】}\\
&\text{真偽が定まる主張一般。特に証明された主張のうち、定理ほど重要視しないもの。}\\
\\
&\text{定理【Theorem】}\\
&\text{証明された重要な命題。}\\
\\
&\text{補題【Lemma】}\\
&\text{より大きな定理の証明などのために用いる補助的な定理。}\\
\\
&\text{系【Corollary】}\\
&\text{既存の定理や命題から、少しの推論で直ちに従う結果。}\\
\\
&\text{公理【Axiom】}\\
&\text{出発点として真と採用する命題で、通常は証明しない前提。}\\
\\
&\text{公準【Postulate】}\\
&\text{文脈によって公理とほぼ同義に用いられる、証明せずに採用する前提。}\\
\\
&\text{原理/原則【Principle】}\\
&\text{重要でよく使う一般命題で、定理・公理などに付くことがある呼称。例:はさみうちの原理}\\
\\
&\text{法則【Law】}\\
&\text{自然科学・応用寄りの文脈で重要とされる関係で、数学でも用語として現れる。例:大数の強法則}\\
\\
&\text{公式【Formula】}\\
&\text{計算に使いやすい形で書かれた定理や系を指す慣用的呼称。}\\
\\
&\text{同値な主張/同値条件【Equivalent Statement / Condition】}\\
&\text{別表現だが同じ内容で、互いに導ける関係にある主張や条件。}\\
\\
&\text{特別の場合【Special Case】}\\
&\text{一般定理を条件で限定した場合の主張で、しばしば系として切り出される。}\\
\\
&\text{一般化【Generalization】}\\
&\text{既知の結果を、より広い状況へ拡張した主張。}
\end{align}
$$
数学における『未証明・仮置きの主張』に付く名前
$$
\begin{align}
&\text{予想【Conjecture】}\\
&\text{まだ証明はないが、真であると予想されている命題。}\\
\\
&\text{仮説【Hypothesis】}\\
&\text{(定理の)仮定・前提条件の意味で用いられる。}\\
&\text{真偽の定まらない命題に付けられる事もある。例:連続体仮説}\\
\\
&\text{未解決問題【Open Problem】}\\
&\text{解かれていない問いで、解答や真偽がまだ確定していないもの。}\\
\\
&\text{問題/問【Problem / Question】}\\
&\text{解答や判定を求める問いで、「示せ」「求めよ」などの形で提示される。}
\end{align}
$$
数学における『証明』に関する用語
$$
\begin{align}
&\text{証明【Proof】}\\
&\text{仮定から結論が論理的に従うことを示す演繹的議論。}\\
\\
&\text{証明終【End of Proof】}\\
&\text{証明の終わりを示す表記で、$\square$やQ.E.D.などが用いられる。}\\
\\
&\text{証明略/スケッチ【Sketch of Proof】}\\
&\text{証明の細部を省き、方針や主要な手順だけを述べるもの。}\\
\\
&\text{方針/戦略【Plan / Strategy】}\\
&\text{どのようにして結論に到達するかという証明の道筋。}\\
\\
&\text{直接証明【Direct Proof】}\\
&\text{仮定から出発し、推論を積み重ねて結論を直接導く方法。}\\
\\
&\text{対偶による証明【Proof by Contraposition】}\\
&\text{$P\Rightarrow Q$を示す代わりに$\neg Q\Rightarrow \neg P$を示す方法。}\\
\\
&\text{背理法【Proof by Contradiction】}\\
&\text{結論の否定を仮定し矛盾を導くことで、結論が真であることを示す方法。}\\
\\
&\text{場合分け【Proof by Cases】}\\
&\text{状況をいくつかの場合に分け、それぞれで結論を示す方法。}\\
\\
&\text{数学的帰納法【Mathematical Induction】}\\
&\text{基底と帰納ステップを示して、自然数全体で主張が成り立つことを示す方法。}\\
\\
&\text{存在証明/一意性【Existence / Uniqueness】}\\
&\text{「存在する」こと、または「ただ$1$つに定まる」ことを示す証明の型。}\\
\\
&\text{構成的証明/非構成的証明【Constructive / Non-constructive Proof】}\\
&\text{対象を実際に構成して示すか、存在だけを論理的に示すかの区別。}\\
\\
&\text{反証【Disproof】}\\
&\text{反例などにより、主張が成り立たないことを示すこと。}
\end{align}
$$
数学における『論理・条件』の基本語彙
$$
\begin{align}
&\text{仮定/前提【Assumption / Premise】}\\
&\text{議論の出発点として置く条件や前置き。}\\
\\
&\text{結論【Conclusion】}\\
&\text{仮定や既知の事実から導かれる到達点としての主張。}\\
\\
&\text{必要条件【Necessary Condition】}\\
&\text{$P$が成り立つなら$Q$が成り立つという意味で、$Q$は$P$の必要条件である。}\\
\\
&\text{十分条件【Sufficient Condition】}\\
&\text{$Q$が成り立つなら$P$が成り立つという意味で、$Q$は$P$の十分条件である。}\\
\\
&\text{必要十分条件【Necessary and Sufficient Condition / Iff】}\\
&\text{$P$と$Q$が同値であるという意味で、$P\Leftrightarrow Q$が成り立つ。}\\
\\
&\text{同値【Equivalence】}\\
&\text{二つの主張が同じ内容を表し、互いに導ける関係。}\\
\\
&\text{含意【Implication】}\\
&\text{$P\Rightarrow Q$の形で表され、$P$ならば$Q$が成り立つことを表す。}\\
\\
&\text{否定【Negation】}\\
&\text{主張$P$が成り立たないことを表す主張で、$\neg P$と書く。}\\
\\
&\text{逆【Converse】}\\
&\text{$P\Rightarrow Q$に対して、$Q\Rightarrow P$をその逆という。}\\
\\
&\text{裏【Inverse】}\\
&\text{$P\Rightarrow Q$に対して、$\neg P\Rightarrow \neg Q$をその裏という。}\\
\\
&\text{対偶【Contrapositive】}\\
&\text{$P\Rightarrow Q$に対して、$\neg Q\Rightarrow \neg P$をその対偶という。}\\
\\
&\text{全称量化【Universal Quantification】}\\
&\text{「すべての$x$について」を表し、$\forall x$で表す。}\\
\\
&\text{存在量化【Existential Quantification】}\\
&\text{「ある$x$が存在して」を表し、$\exists x$で表す。}\\
\\
&\text{条件【Condition】}\\
&\text{主張を述べる際に課す要件や制約。}\\
\\
&\text{場合【Case】}\\
&\text{状況を分けて議論するときの各状況。}\\
\\
&\text{一般に【In General】}\\
&\text{特別な仮定を置かない通常の状況では、という意味の表現。}\\
\\
&\text{任意の【Arbitrary】}\\
&\text{特定しない任意の対象を取り、その対象について主張するという意味の表現。}
\end{align}
$$
数学における『慣用句・メタ用語』
$$
\begin{align}
&\text{WLOG(一般性を失わずに)【Without Loss of Generality】}\\
&\text{証明や議論で、一般の場合を損なわない範囲で条件を簡単化してよい、という意味。}\\
\\
&\text{自明【Obvious / By Inspection】}\\
&\text{すぐ分かる、直ちに確かめられる、という意味(ただし読者や文脈に依存する)。}\\
\\
&\text{典型的/標準的・自然な【Canonical / Natural】}\\
&\text{特別な選び方ではなく、自然で代表的な選び方・対象である、という意味。}\\
&\text{選択の余地がなく同型を除いて一意。}\\
\\
&\text{同様にして【Similarly】}\\
&\text{直前と同じ議論・同じ手順により、同様の結論が得られる、という意味。}\\
\\
&\text{よって/従って【Therefore / Hence】}\\
&\text{前の議論から結論が導かれることを示す接続表現。}\\
\\
&\text{帰納法の基底/帰納ステップ【Induction Base / Step】}\\
&\text{帰納法で、最初のケースを示す部分と、$n\Rightarrow n+1$を示す部分。}\\
\\
&\text{退化【Degenerate Case】}\\
&\text{一般の状況の一部が潰れるなどして、形が特殊になる場合。}\\
\\
&\text{例外【Exceptional Case】}\\
&\text{一般の議論から外れるため、別途扱いが必要となる場合。}
\end{align}
$$
数学における『局所と大域』に関する基本語彙
$$
\begin{align}
&\text{局所【Local】}\\
&\text{対象$X$のうち、ある点のまわりの「十分小さい部分」を指す言い方。}\\
\\
&\text{大域【Global】}\\
&\text{対象$X$の全体(全範囲)を指す言い方。}\\
\\
&\text{局所的に(各点で)【Locally】}\\
&\text{任意の$p\in X$に対し、$p$を含む近傍$U$が存在して、$U$上で性質が成り立つこと。}\\
\\
&\text{大域的に(全体で)【Globally】}\\
&\text{性質が$X$全体上で成り立つこと。}\\
\\
&\text{局所性/大域性【Local/Global Property】}\\
&\text{性質が「近傍ごとに確認できるか」「全体構造に依存するか」という区別。}\\
&\text{局所で成り立っても大域で成り立つとは限らない。}\\
\\
&\text{局所最小/大域最小【Local/Global Minimum】}\\
&\text{関数$f$について、局所最小はある近傍で最小、大域最小は定義域全体で最小であることをいう。}
\end{align}
$$