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大学数学基礎解説
文献あり

【備忘録/用語集】離散部分集合

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(集積点/孤立点/離散部分集合)

$X$を位相空間とし,$A$$X$の部分集合とする。

  • $x \in X$$A$の集積点であるとは,$x$を含むような$X$の任意の開集合$U$に対して,$U \cap (A \setminus \{x\}) \neq \emptyset$が成り立つことをいう。
  • $x \in A$$A$の孤立点であるとは,$x$を含むような$X$のある開集合$U$が存在して,$U \cap A = \{x\}$が成り立つことをいう。
  • すべての$x \in A$$A$の孤立点であるとき,$A$$X$の離散部分集合であるという。

$A$$X$内に集積点をもたないとき,$A$$X$の閉離散部分集合である。

$D$$\mathbb{C}$の開集合としたとき,$D$の離散部分集合$E$は高々可算である。

$E$$2$点以上からなる場合を考える。

$z_0 \in E$とする。

このとき,
$$ \inf_{z \in E \setminus \{z_0\}} |z - z_0| > 0$$
である。
(もし$\inf_{z \in E \setminus \{z_0\}} |z - z_0| = 0$ならば,任意の$r > 0$に対してある$z_1 \in E \setminus \{z_0\}$が存在して$|z_1 - z_0| < r$となる。一方,$E$$D$の離散部分集合なので,$D$のある開集合$U$が存在して$U \cap E = \{z_0\}$となる。$U$が開集合であることから,ある$r > 0$が存在して$\{ z \in \mathbb{C} \mid |z - z_0| < r \} \subset U$となる。この$r$に対して上のような$z_1$を取れば,$z_1 \in U \cap E$となり矛盾する。)

$z \in E$に対して
$$ 2 r_{z} = \inf_{w \in E \setminus \{z\}} |w - z|$$
$$ U_{z} = \{ w \in \mathbb{C} \mid |w - z| < r_{z} \}$$
と置く。

このとき,$z_1 \neq z_2$ $(z_1, z_2 \in E)$ならば$U_{z_1} \cap U_{z_2} = \emptyset$である。
(もし,$z \in U_{z_1} \cap U_{z_2}$ならば,
\begin{align} |z_1 - z_2| & \leq |z - z_1| + |z - z_2| \\ & < r_{z_1} + r_{z_2} \\ & = \frac{ \inf_{w \in E \setminus \{z_1\}} |w - z_1| + \inf_{w \in E \setminus \{z_2\}} |w - z_2| }{2} \\ & \leq \frac{|z_2 - z_1| + |z_1 - z_2|}{2} \\ & = |z_1 - z_2| \end{align}
となり矛盾する。)

$\mathbb{Q}^2 = \{ x + iy \in \mathbb{C} \mid x, y \in \mathbb{Q} \}$$\mathbb{C}$の稠密な部分集合なので,$z \in E$に対して$U_z \cap \mathbb{Q}^2 \neq \emptyset$の元をひとつ選ぶことで,$E$から$\mathbb{Q}^2$への写像が定義される。

$U_z$は交わらないので,この写像は単射であり,$E$が高々可算であることが示された。

(とある友人に教わった別証明)

$D$から定まる相対位相により,$E$は離散空間となる。

一方,$\mathbb{C}$は第二可算空間なので,$E$もまた第二可算空間である。

$E$の高々可算な開基はすべての$1$点集合を和集合の形で表すことができるので,そもそも開基自体がすべての$1$点集合を含んでいる。

したがって,$E$は高々可算である。

コンパクト位相空間の閉離散部分集合は有限集合である。

参考文献

[1]
松坂和夫, 集合・位相入門, 岩波書店, 1968
[2]
小木曽啓示, 代数曲線論, 数学の考え方, 朝倉書店, 2002
投稿日:28
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