リー代数のイデアル
(代数のイデアル)
を代数とする。
がのイデアルであるとは、はの部分線型空間であって、
すべてのに対し、を満たすものをいう。
イデアルはの部分代数になっている。
例 やは自明なのイデアルである。
代数のイデアルは、群論の正規部分群、環論のイデアルと対応する。
例えば、準同型の核としてあらわれる。
(代数の中心)
を代数とする。このとき、
{すべてのに対し、}をの中心という。
中心はのイデアルの例となっている。
また、は可換代数 は明らか。
導来代数もイデアルの例となっている。(ので導来イデアルといったりする。)
例 が成り立つ。
(証明)を任意にとると、より、
したがって、が成り立つ。(もわかる)
の基底として、を選ぶ。
であるので、
したがって、(もわかる)
(イデアルの和と積)
を代数とし、をのイデアルとする。このとき、
と定める。
もものイデアルとなる。証明は代数の教科書に載っているので割愛する。
(単純代数)
代数のイデアルが自明なもの(と)のみであるとき、は単純であるとか、は単純代数であるという。
この定義に、さらに、(つまり、は可換でない)を課すこともある。
もし、が可換かつ単純であるとすると、の1次元部分線型空間は可換性から、のイデアルとなる。よって、の単純性より、となってしまう。
このような定義の齟齬を防ぐために、単純の定義は定義5の通りにして、をつけ加えたものは、非可換単純代数と呼ぶことにする。
例 を非可換単純代数とする。このとき、
証明 はのイデアルなので、の単純性より、orとなる。
は非可換なので、.ゆえに、
同様に、ものイデアルなので、orである。
は非可換なので、.ゆえに、
(商代数)
を代数とし、をのイデアルとする。
このとき、商線型空間を商代数とよぶ。
これが代数であることを確認しよう。
証明 に対し、をであった。
が線型空間であることは、認めておこう。つまり、和とスカラー倍はwell-definedであるということである。式で書くと、として、は認めるということである。
かっこ積を定義しよう。のかっこ積を、と書くことにしよう。
このとき、に対し、で定める。
まず、かっこ積がwell-definedかどうかを確認する。つまり、代表元の取り方に依らないことを示す。
として、としよう。
このとき、商線型空間の定義から、であるので、
あるが存在して、とかける。
つまり、である。
はイデアルなので、
つまり、
よって、 これより、かっこ積はwell-definedである。
とする。
かっこ積の双線型性
つまり、
つまり、
したがって、第1成分の線型性が言えた。第2成分も同様にしてわかる。
交代性よりわかる。
律
よりわかる。したがって、は代数である。
(正規化代数、自己正規化代数)
を代数とし、をの部分線型空間とする。
と定める。
このとき、をの正規化代数とよぶ。
特に、のときは、を自己正規化代数とよぶ。
がの部分代数である必要はないというのはオドロキなのだ。
証明 やを定義7のものとして示す。
が部分線型空間であること
を任意にとる。
このとき、であるので、
とはの部分線型空間より
を任意にとる。
このとき、であるので、
とはの部分線型空間より
は部分線形空間である
が部分代数であること
を任意にとる。
このとき、であるので、律より、
より、なので、さらに、
となり、が部分線型空間より、
は部分代数である
を代数とし、をの部分代数とする。
このとき、はを含む最小のイデアルである。
証明 をの部分代数より、に対し、
(中心化代数)
を代数とし、をの空でない部分集合とする。
をの中心化代数という。
定義から明らかに、である。
証明 やを定義8のものとして示す。
が部分線型空間であること
を任意にとる。
このとき、であるので、より、
を任意にとる。
このとき、であるので、より、
より、
は部分線型空間である
が部分代数であること
を任意にとる。
このとき、であるので、律より、
より、
は部分代数である