ここでは東大数理の修士課程の院試の2024A05の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2024A05
まず集合
を考える。そして及び実数に対して
とする。いまによって生成される基本近傍系によって、に位相を定める。
- はハウスドルフであることを示しなさい
- のに於ける閉包を図示しなさい。
- は連結であるかどうか判定しなさい。
以下の議論ではは座標が・座標がの点を指し、はなる有理数全体の為す開区間を指す。またをと略記する。またこの略記はやなどのようなの部分集合にも適用する。
- の相異なる点をとる。このとき、を十分小さく取れば
を満たしている。このときであるから、のハウスドルフ性が従う。 - まず
とする。また
とおく。このときはに含まれている。またを取ったとき、
のいずれかが満たされているから、の近傍はと共通部分を持つ。以上からの閉包はを含んでいる。一方各に対して
になるようを取れば
は開集合であるから、は閉集合である。以上からが所望の閉包である。※図は時間のある時に挿入します。 - まずをの互いに交わらない開集合への分解とする。を空でないとする。を取ったとき、この位相の定め方から、を満たすようにをとれる。このとき
である。このとき集合
はに於いて稠密である。よってはに於いて稠密である。これによって
が従い、ここからが従う。よっては連結である。