空間が距離空間の公理(三角不等式)を満たすことを示すのに必要な不等式について説明する。
ミンコフスキーの不等式とは
見ての通りこれは
の一般化となっている。
実際とすれば上記の三角不等式が得られる。
証明
証明は以下の流れで行う。
- イェンゼンの不等式の証明
- ヤングの不等式の証明
- ヘルダーの不等式の証明
- ミンコフスキーの不等式の証明
1.イェンゼンの不等式の証明
イェンゼンの不等式
が凸関数のとき、任意のと
を満たす任意のについて
が成り立つ。
数学的帰納法
のとき、とおける。
このときの凸性より、任意のについて
であり、これは示す不等式ののときそのものである。
よってのとき成立する。
のとき、イェンゼンの不等式が成立すると仮定する。
ただしとする。
このときであるから、について仮定より
となる。ここで、である。
よっての凸性より、とおくと
よってのときも成立する。
2.ヤングの不等式の証明
ヤングの不等式
正の実数とより大きいを満たす実数について
が成り立つ。
イェンゼンの不等式を用いる
とおくと、よりは凸関数である。
よってイェンゼンの不等式より
である。これにおいてとおくと
とヤングの不等式を得る。
3.ヘルダーの不等式の証明
ヤングの不等式を用いる
は正の実数であるから、ヤングの不等式より
これをからまで両辺を足し合わせると
とヘルダーの不等式を得る。
4.ミンコフスキーの不等式の証明
ヘルダーの不等式を用いる
のとき
より成り立つ。
のとき
(三角不等式)
の第一項は、ヘルダーの不等式より
で抑えられる。また、この右辺は
となる。さらに、の第二項についても同様に評価できて
以上より
両辺をで割って
とミンコフスキーの不等式を得る。