0

東大数理院試過去問解答例(2024A04)

266
0

ここでは東大数理の修士課程の院試の2024A04の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。

2024A04

実数α(0,1]に対して広義積分
Iα:=01(αx[αx])dx
Jα:=01(α[1x][αx])dx
を定める。以下の問いに答えなさい。

  1. I1は収束し、その値は
    n=1(1n+1log(11n+1))
    に等しいことを示しなさい。
  2. 等式Iα=αI1αlogαを示しなさい。
  3. Jαを求めなさい。
  1. まず
    01(1x[1x])=limNn=1N1n+11n1xndx=limNn=1N1n+11n1xdx1n+1=limNn=1Nlog(n+1)logn1n+1=n=1(1n+1log(11n+1))
    であることがわかる。ここでテイラーの定理から、limx0f(x)=0なる関数f
    log(1x)=x+12x2+f(x)x2
    と表せる。よって右辺の積分は
    n=1((12+f(1n+1))1(n+1)2)
    と表される。f0のある近傍で有界であることとから、この級数は収束する。
  2. まず
    Iα=01(αx[αx])dx=α01α(1x[1x])dx=α(I1+11α(1x[1x])dx)=α(I1logα)
    であり、これが示したかったことである。
  3. 実際に計算することで、
    Jα=01α[1x][αx]dx=IααI1=αlogα
    である。
投稿日:2024922
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント 

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中