あんまりA問題は記事にしないつもりでしたが(Aだから簡単とは言ってない)、見つけてしまったので。
まずは問題からです。
問題A 6.3.3
- $X$ を空でないコンパクト空間とし,$Y$ を位相空間,$f: X \times Y \to \mathbf{R}$ を連続関数とする.$y \in Y$ に対し,関数 $g_y: X \to \mathbf{R}$ を $g_y(x) = f(x, y)$ で定める.$y \in Y$ を $g_y$ の最大値 $M(y)$ にうつす関数 $M: Y \to \mathbf{R}$ は,連続であることを示せ.
- $X = (0, 1], Y = [0, 1]$ とし,連続関数 $f: X \times Y \to \mathbf{R}$ で,任意の $y \in Y$ に対し,$g_y(x) = f(x, y)$ で定まる関数 $g_y: X \to \mathbf{R}$ の最大値 $M(y)$ が存在し,さらに,$y \in Y$ を $M(y)$ にうつす関数 $M: Y \to \mathbf{R}$ は連続でないものの例を1つ与えよ.
例によって模範解答がエレガント過ぎるので、あえて泥臭くやってみました。
【解答案】
まず、固定された $y \in Y$ に対する写像 $g_y: X \to \mathbb{R}$ は、以下の連続写像の合成であるから連続である。
$$X \xrightarrow{\mathrm{id}_X \times y} X \times Y \xrightarrow{f} \mathbb{R}$$
$$x \longmapsto (x, y) \longmapsto f(x,y)$$
したがって、$X$ はコンパクトであるから、最大値の定理より $M(y)$ は確かに存在する。
次に、$y, y' \in Y$ とする。最大値の定義より、
$$\exists x_y, x_{y'} \in X, \quad M(y) = f(x_y, y), \quad M(y') = f(x_{y'}, y')$$
ここで、$f(x_y, y') \le f(x_{y'}, y') = M(y')$ であることに注意すると、
$$M(y) - M(y') \le f(x_y, y) - f(x_y, y')$$
$y$ と $y'$ の役割を入れ替えれば、
$$M(y') - M(y) \le f(x_{y'}, y') - f(x_{y'}, y)$$
したがって、任意の $y, y'$ に対して以下が成り立つ。
$$|M(y) - M(y')| \le \sup_{x \in X} |f(x,y) - f(x,y')|$$
これを用いて $M(y)$ の連続性を示す。
$y \in Y$ を固定し、任意の $\varepsilon > 0$ をとる。
$f$ の連続性より、各 $x \in X$ に対して、$x$ の開近傍 $U_x$ と $y$ の開近傍 $V_x$ が存在し、次を満たすようにできる。
$$\forall (x', y') \in U_x \times V_x, \quad |f(x', y') - f(x, y)| < \frac{\varepsilon}{2}$$
$\{U_x\}_{x \in X}$ は $X$ の開被覆であるから、$X$ のコンパクト性より有限個の点 $x_1, \dots, x_n \in X$ を用いて
$$X = U_{x_1} \cup \dots \cup U_{x_n}$$
と書ける。ここで、$y$ の開近傍 $V$ を
$$V = V_{x_1} \cap \dots \cap V_{x_n}$$
と定めると、$V$ もまた $y$ の開近傍である。
任意の $y' \in V$ と、任意の $x' \in X$ をとる。
$X$ の開被覆の構成から、$x'$ はある $U_{x_i}$ に属する。また、$y, y' \in V \subset V_{x_i}$ である。
したがって、$(x', y) \in U_{x_i} \times V_{x_i}$ かつ $(x', y') \in U_{x_i} \times V_{x_i}$ なので
$$|f(x', y) - f(x', y')| \le |f(x', y) - f(x_i, y)| + |f(x_i, y) - f(x', y')| < \frac{\varepsilon}{2} + \frac{\varepsilon}{2} = \varepsilon$$
となる。これは任意の $x' \in X$ について成り立つから、
$$\sup_{x' \in X} |f(x', y) - f(x', y')| \le \varepsilon$$
ゆえに、$\forall y' \in V$ に対して $|M(y) - M(y')| \le \varepsilon$ となり、$M(y)$ は連続であることが示された。$\square$
教科書の後ろにある模範解答から引用します。
2.
$f(x, y) = \frac{y}{x+y}$ とすると,$y > 0$ ならば $M(y) = 1$ であり,$M(0) = 0$ である.
この関数、ちょっと考えるとわかりますが、そもそも $y > 0$ のときに最大値が存在しないんですね。念のため詳細を述べましょう。
$y > 0$ とする。定義域は $X = (0, 1]$ であるから、任意の $x \in (0, 1]$ に対して常に $x + y > y$ であり、
$$ f(x, y) = \frac{y}{x+y} < 1 $$ が成り立つ。
一方、$x$ を $+0$ に近づければ $$ \sup_{x \in (0, 1]} f(x, y) = \sup_{x \in (0, 1]} \frac{y}{x+y} = 1 $$ となり、$f(x, y)$ の上限は $1$ である。
$f(x, y)$ の最大値は存在すれば $f(x, y)$ の上限と等しくならなければならないが、上記は $f(x, y)$ が最大値をとる点が存在しないことを示している。
こんな感じで作ってみます。よく連続と一様連続の違いの例で出てくる、山のように尖る関数の亜種です。
条件を満たす連続関数 $f: X \times Y \to \mathbf{R}$ として、次の関数を定義する。
$$
f(x, y) =
\begin{cases}
\frac{2x}{y} & \left(0 < x \le \frac{y}{2} \text{ かつ } y > 0 \right) \\[1ex]
2 - \frac{2x}{y} & \left(\frac{y}{2} < x \le y \text{ かつ } y > 0 \right) \\[1ex]
0 & (x > y \text{ または } y = 0)
\end{cases}
$$
この関数が問題の条件をすべて満たし、かつ最大値関数が不連続になることを順に確認する。
ちなみに問2の正しい反例となる関数を図にしてみるとこんな感じです。
f(x,y)の図