1
現代数学解説
文献あり

Ramanujan, Slaterによる恒等式

42
0

前の記事 の定理1のh=2の場合は以下のようになる.

Ramanujan, Andrews(1966)

0n(a;q2)n(q2;q2)n(b;q)2n(c;q)2ntn=(b;q)(at;q2)(c;q)(t;q2)0n(c/b;q)n(t;q2)n(q;q)n(at;q2)nbn

Ramanujan, Slater(1952)

0n(q;q2)nq12n(n+1)(q;q)n(q;q2)n+1=(q;q)(q3,q5,q8;q8)(q;q)0n(q;q2)nq12(n+1)(n+2)(q;q)n(q;q2)n+1=q(q;q)(q,q7,q8;q8)(q;q)

1つ目の式を示す. 定理1において, a=q2,c=t=q,b0として,
0n(q;q2)nq12n(n+1)(q;q)n(q;q2)n+1=(q;q2)(q;q2)20n(q)n(q;q)2n
ここで, q二項定理, Jacobiの三重積より,
0nqn(q;q)2n=120n(1+(1)n)qn2(q;q)n=12(1(q;q)+1(q;q))=12(q;q)((q12,q32,q2;q2)+(q12,q32,q2;q2))=12(q;q)(nZqn2+n2+nZ(1)nqn2+n2)=1(q;q)nZq4n2+n=(q3,q5,q8;q8)(q;q)
であるから, qqとしてこれを先ほどの式に代入して
0n(q;q2)nq12n(n+1)(q;q)n(q;q2)n+1=(q;q2)(q;q2)2(q3,q5,q8;q8)(q;q)=(q;q)(q3,q5,q8;q8)(q;q)
を得る. 次に2つ目の式を示す. 定理1において, a=c=q2,t=q,b0として,
0n(q;q2)nq12(n+1)(n+2)(q;q)n(q;q2)n+1=q(q;q2)(q;q2)20n(q)n(q;q)2n+1
を得る. ここで,
0nqn(q;q)2n+1=120n(1(1)n)qn12(q;q)n=12q(1(q;q)1(q;q))=12q(q;q)((q12,q32,q2;q2)(q12,q32,q2;q2))=12q(q;q)(nZqn2n2nZ(1)nqn2n2)=1(q;q)nZq4n2+3n=1(q;q)(q,q7,q8;q8)
であるから, qqとして
0n(q;q2)nq12(n+1)(n+2)(q;q)n(q;q2)n+1=q(q;q2)(q;q2)2(q,q7,q8;q8)(q;q)=q(q;q)(q,q7,q8;q8)(q;q)
と示される.

以下は, Ramanujanによって発見された等式である.

Ramanujan

0n(1)nq12n(n+1)(q;q)n(1q2n+1)=(q3,q5,q8;q8)0n(1)nq12(n+1)(n+2)(q;q)n(1q2n+1)=q(q,q7,q8;q8)

1つ目の等式はq二項定理より,
0n(1)nq12n(n+1)(q;q)n(1q2n+1)=0n,m(1)nq12n(n+1)+m(2n+1)(q;q)n=0mqm(q2m+1;q)=(q;q)0mqm(q;q)2m=(q3,q5,q8;q8)
と示される. ここで, 最後の等号は定理2の証明において示したものである. 2つ目の等式も同様にq二項定理より,
0n(1)nq12(n+1)(n+2)(q;q)n(1q2n+1)=0n,m(1)nq12(n+1)(n+2)+m(2n+1)(q;q)n=0mqm+1(q2m+2;q)=q(q;q)0mqm(q;q)2m+1=q(q,q7,q8;q8)
と示される. ここで, 最後の等号は定理2の証明において示したものである.

参考文献

[1]
G. E. Andrews, B. C. Berndt, Ramanujan's Lost Notebook Part II, Springer, 2009
投稿日:26日前
更新日:26日前
OptHub AI Competition

この記事を高評価した人

高評価したユーザはいません

この記事に送られたバッジ

バッジはありません。
バッチを贈って投稿者を応援しよう

バッチを贈ると投稿者に現金やAmazonのギフトカードが還元されます。

投稿者

Wataru
Wataru
793
52360
超幾何関数, 直交関数, 多重ゼータ値などに興味があります

コメント

他の人のコメント

コメントはありません。
読み込み中...
読み込み中