ここでは東大数理の修士課程の院試の2011B05の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2011B05
の部分集合を
で定める。
- はの部分多様体であることを示しなさい
- を
で定義する。各に対してを計算しなさい。 - はコンパクトかどうかを理由付きで答えなさい。
- のオイラー標数を計算しなさい。
- まずを
とおく。この点に於ける微分は
である。この行列のランクがになるのはのうちつ以上がのときに限るが、このような点の像はを含まない。よってはの部分多様体である。 - まず
である。よってについて、ないしないしないしのときは、かつのとき、かつのとき、かつかつのとき、かつかつのとき、のとき、かつかつかつのときである。以上を簡単にまとめると
とおき、四角形の頂点集合を、の境界からを除いた集合をとおく。このとき
である。 - まず上の点はを満たす必要がある。またこれによって
である必要もある。以上からは有界である。またはによる閉集合の逆像なので閉集合である。よってはコンパクトである。 - まずをの連結成分の集合、をの連結成分の集合、をの連結成分の集合とする。このときはの胞体分割になっていて、はこの分割の単体全体である。以上と(2)の結果からオイラー標数は
である。