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東大数理院試過去問解答例(2011B05)

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ここでは東大数理の修士課程の院試の2011B05の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。 

2011B05

R4の部分集合M
M={(x,y,z,w)R4|2x2+2=2z2+w2,3x2+y2=z2+w2}
で定める。

  1. MR4の部分多様体であることを示しなさい
  2. F:MR2
    F(x,y,z,w)=(x2,y2)
    で定義する。各p=(X,Y)R2に対して|F1(p)|を計算しなさい。
  3. Mはコンパクトかどうかを理由付きで答えなさい。
  4. Mのオイラー標数を計算しなさい。
  1. まずf:R4R2
    f(x,y,z,w)=(2x2+22z2w2,3x2+y2z2w2)
    とおく。この点(a,b,c,d)に於ける微分は
    (4a04c2d6a2b2c2d)
    である。この行列のランクが<2になるのはa,b,c,dのうち3つ以上が0のときに限るが、このような点の像は(0,0)を含まない。よってM=f1(0,0)R4の部分多様体である。
  2. まず
    z2=2x2y2
    w2=4x2+2y22
    である。よってp=(X,Y)について、X<0ないしY<0ないしX+Y>2ないし2X+Y<1のときは|F1(p)|=0X=0かつ1<Y<2のとき|F1(p)|=8Y=0かつ12<X<2のとき|F1(p)|=82X+Y=1かつX0かつY0のとき|F1(p)|=8X+Y=2かつX0かつY0のとき|F1(p)|=8(X,Y)=(0,1),(0,2),(12,0),(2,0)のとき|F1(p)|=4X>0かつY>0かつX+Y<2かつ2X+Y>1のとき|F1(p)|=16である。以上を簡単にまとめると
    N={(X,Y)R2|X,Y,2XY,2X+Y1>0}
    とおき、四角形Nの頂点集合をOMの境界からOを除いた集合をPとおく。このとき
    |F1(p)|={16(pN)8(pP)4(pO)0(if else)
    である。
  3. まずM上の点はx2+y22を満たす必要がある。またこれによって
    2z2+w2=2x2+22(x2+y2)+28
    である必要もある。以上からMは有界である。またMFによる閉集合NOPの逆像なので閉集合である。よってMはコンパクトである
  4. まずS2F1(N)の連結成分の集合、S1F1(P)の連結成分の集合、S0F1(O)の連結成分の集合とする。このときS2S1S0Mの胞体分割になっていて、Siはこの分割のi単体全体である。以上と(2)の結果からオイラー標数は
    1648+44=0
    である。
投稿日:322
更新日:322
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藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント 

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