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科学大数学院試過去問解答例(2024午後06)

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ここでは科学大数学系の修士課程の院試の2024午後06の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです

2024午後06

Rのルベーグ可測集合列{En}及び実数値可積分関数列{fn}及び実数値可積分関数fは以下の条件

  1. limnμ(En)=0
  2. limnREn|fnf|dμ=0

を満たすとする。このとき以下の問いに解答しなさい。

  1. {fn}の部分列で、R上殆ど至る所fに収束するようなものを取れるか?取れるときは示し、取れないときは反例を挙げなさい。
  2. {En},{fn},fが上の条件(i)(ii)に加えて
    lim supnR|fn|2dμ<
    を満たしているとする。このとき等式
    limnR|fnf|dμ=0
    を満たすか?満たすときは示し、満たさないときは反例を挙げなさい。
  1. 取れることを示す。まず部分列fnを適切な部分列に取り替えて
    iμ(Eni)dμ<
    を満たすとして良い。このとき条件(ii)から任意のNについて
    limnR(i=NEi)|fif|=0
    であるから、関数列の部分列を次々とることで、任意のNについてR(i=NEi)上殆ど至る所f(x)に収束する部分列{fN,n}({fN1,n})をとることができる。ここでここで{gi}gi=fi,iとおくと、これは構成からRN=1i=NEi上殆ど至る所収束するからこれが所望の部分列である。
  2. 満たすことを示す。まず条件(i)及びfの可積分性から
    limnEn|f|dμ=0
    である。次にc=lim supnfn22とおくと、ヘルダーの不等式から
    En|fn|dμμ(En)fn2
    limnEn|fn|dμlimnμ(En)c=0
    である。以上と条件(ii)を併せれば
    R|fnf|dμ=REn|fnf|dμ+En|fnf|dμREn|fnf|dμ+En|f|dμ+En|fn|dμn0
    が従い、所望の結果を得る。
投稿日:223
更新日:223
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藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント 

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