概要
次行列と次行列の行列のテンソル積について、このテンソル積を表現行列としてもつ順序基底はなんなのかよくわからなかったので計算した。
前提
線形空間や線形写像のテンソル積や元のテンソル積の計算を実行できる
テンソル積と順序基底
行列のテンソル積
行列のテンソル積
次行列と次行列に対して、次行列を次のように定める:
これをとの(行列の)テンソル積という。
2次行列と3次行列とかで実際に書いてみるのをおすすめします。
一般の行列の場合
型行列と型行列の行列のテンソル積も定義できるはずだけど省略。
を表現行列とする順序基底
を線形空間、をそれぞれの順序基底とする。ある上の線形変換を一つ考える。その線形写像についてこの順序基底による表現行列をとする。同じように、上の線形変換から表現行列を得る。
それぞれの基底のそれぞれの元同士のテンソル積がなす集合はテンソル積の基底をなす。また、上の線形変換を考える。このとき、行列のテンソル積を表現行列に持つような基底の順番は何だろうか。
としたいが、この計算を今後しなくてよいように簡単にメモをしておこう。今それぞれの順序基底と行列は次のような関係になっている。
これを使って を計算してみよう
落ち着いて展開していく、以後を省略して と書く。
順序基底においては2番目のため、の係数がなすたてベクトルは表現行列で2列目になる。表現行列の2列目の成分を以下に書きだす。
行列のテンソル積と見比べると、
となり一致する。
トライ
順序基底を考えて
も書きくだして表現行列がどうなるかを見るのもよいと思う。
最後に
順序がない基底を考えて、その成分をとるのは写像のように考えればいいじゃないかと思ったのですがそれをやると行列による表示を一つ定めたときとの整合性がよくわからなくなました。その結果、多様体上のベクトル束のテンソル積の共変微分を計算する手が止まりました。というのがこれを書いた背景です。
たぶん、理論的には行列のテンソル積の定義を変えればうまくいくと思いますが、そんなことをすると文献ごとにどちらの順序基底で計算しているかを都度考えることになりそうです。順序をあいまいにしておくのは計算の時に危なさそうです。今回の場合に限るとありえそうな順序付けは次のどちらかになりそうです。
- たちのを先に動かした順序
- たちのを先に動かした順序(上の計算で使った順序)
もし本当にすべての順序を無視して考えると個の表示のバリエーションを同一視することになりそうです。計算を実行するときには次行列の個のバリエーションから整合性がとれる表示を一つ選べということになり私の頭にはおさまりそうにないです。