$I$を可換環のイデアルとする. $I$がある極大イデアル$\mathfrak{m}$の冪$\mathfrak{m}^\nu$を含めば, $I$は準素イデアルで
$$
\sqrt{I} = \mathfrak{m}
$$
が成り立つ.
まず後半を示す. $a \in \mathfrak{m}$とする. すると$a^\nu \in \mathfrak{m}^\nu \subseteq I$だから$a \in \sqrt{I}$となる. よって$\sqrt{I} \supseteq\mathfrak{m}$. しかし$\mathfrak{m}$は極大イデアルだから, $\sqrt{I} = \mathfrak{m}$となる.
次に後半を示す. $a b \in I, b \notin \sqrt{I}$となる$a, b$をとる. このとき$I \subseteq \sqrt{I}$だから$a b \in \mathfrak{m}$でもある. $\mathfrak{m}$は素イデアルで$b \notin \sqrt{I} = \mathfrak{m}$だから$a \in \mathfrak{m}$でなければならず, したがって$a \in \sqrt{I}$となり, $I$は準素イデアルであることが従う.
可換なArtin局所環$(A, \mathfrak{m})$のすべてのイデアルは準素イデアルである.
補題1により, 極大イデアル$\mathfrak{m}$が冪零であることを示せば十分である.
$A$はArtin環だから, 真減少列$\mathfrak{m} \supsetneq \mathfrak{m}^2 \supsetneq \cdots$は有限で止まり, したがって$\mathfrak{m}^n = \mathfrak{m}^{n + 1} = \cdots$となる$n \ge 1$が存在する. $I = 0 : \mathfrak{m}^n = \set{a \in A \mid a \mathfrak{m}^n = 0}$とする. このとき
$$
I : \mathfrak{m} = (0 : \mathfrak{m}^n) : \mathfrak{m} = 0 : \mathfrak{m}^{n + 1} = I
$$
が成り立つ. $I \neq A$であると仮定し, $I$より真に大きいイデアルのうち極小なものを$I'$とする. $x \in I' \setminus I$をとると, 中山の補題により$I' \neq x \mathfrak{m} + I$だから$I = x \mathfrak{m} + I$となり, $x \mathfrak{m} \subseteq I$であることが従う. ゆえに$x \in I : \mathfrak{m} = I$となるが, $x \in I' \setminus I$だったからこれは矛盾である. よって$I = A$となり, これは$\mathfrak{m}^n = 0$を意味する.