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東大数理院試過去問解答例(2026A06)

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ここでは東大数理の修士課程の院試の2026A06の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。

2026A06(1)

$t$を実数とする。積分
$$ \int_{-\infty}^\infty\frac{e^{itx}}{1+x^2}dx $$
を計算しなさい。

初めに$t$を非負実数とする。$\mathbb{C}$上の経路$C_R=C_{R}^1+C_R^2$を、$C_R^1$は実軸上を$-R$から$R$に移る経路、$C_R^2$は半径$R$の円上を$-R$から$R$まで反時計回りに移る経路とする。このとき
$$ \begin{split} \left|\int_{C_R^2}\frac{e^{itx}}{1+x^2}dx\right|&\leq\int_{C_R^2}\left|\frac{e^{itx}}{1+x^2}\right|dx\\ &=\int_{0}^{\pi}\frac{R\theta e^{-Rt\sin\theta}}{\left|1+R^2e^{i2\theta}\right|}d\theta\\ &\leq\frac{Re^{-Rt}}{R^2-1}\int_0^\pi\theta d\theta&\xrightarrow{R\to\infty}0 \end{split} $$
である。一方留数定理から$R>1$に対して
$$ \int_{C_R}\frac{e^{itx}}{1+x^2}dx=\pi e^{-t} $$
である。よって所望の積分は
$$ \lim_{R\to\infty}\int_{C_R^1}\frac{e^{itx}}{1+x^2}dx={\pi e^{-t}} $$
である。一方$t$が負の数の場合は
$$ \int_{-\infty}^\infty\frac{e^{itx}}{1+x^2}dx=-\int_{\infty}^{-\infty}\frac{e^{i(-t)y}}{1+y^2}dy=\pi e^t $$
である。以上をまとめて
$$ \int_{-\infty}^{\infty}\frac{e^{itx}}{1+x^2}dx= {\color{red}\pi e^{-|t|}} $$
が得られる。

2026A06(2)

$n$を正整数とする。相異なる実数$t_1,\cdots,t_n$を取り、$n\times n$実対称行列$A=(a_{ij})_{i,j=1}^n$
$$ a_{ij}=e^{-|t_i-t_j|} $$
によって定義する。このとき$A$は正定値行列であることを示しなさい。

実線型空間$V=\mathbb{R}^n$を取り、$e_1,\cdots,e_n$をその標準基底とする。そして$V$の内積$(-,-)$
$$ (e_i,e_j)=a_{ij} $$
で定義する。$k(1),\cdots,k(n)$$t_{k(1)}<\cdots< t_{k(n)}$を満たすようにとる。そして$x_i\in V$
$$ x_i=\begin{cases} e_{k(1)}&(i=1)\\ e_{k(i)}-a_{k(i-1),k(i)}e_{k(i-1)}&(i>1) \end{cases} $$
で定義する。このとき
$$ (x_i,x_j)=\begin{cases} 0&(i\neq j)\\ 1-a_{k(i-1),k(i)}^2>0&(i=j>1)\\ 1&(i=j=1) \end{cases} $$
である。以上から$A$は正定値である。

投稿日:11日前
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藍色日和
藍色日和
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藍色の日々。趣味の数学と院試の過去問の(間違ってるかもしれない雑な)解答例を上げていきます。リンクはX(旧Twitter)アカウント 

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