ここでは東大数理の修士課程の院試の2022B04の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2022B04
変数関数体及びその部分体
をとり、の上のGalois閉包をとおく。
(1) 拡大次数を求めなさい
(2) 拡大次数を求めなさい
(3) の部分体で、かつなるものの個数を求めなさい。
- まずは-係数多項式の根であり、この多項式の根は()で尽くされている。またはを代入するとで生成されるような有理式からなっているからであることと合わせてを得る。次に上は
の根であり、その根は()で尽くされる。先ほどと同様の議論をについて行うことではに含まれないことがわかるからである。以上からが得られる。 - ここで多項式
を考える。ここで多項式の根をとすると、多項式の根は
である。ここでは上の多項式
の最小分解体であるから、である。よってがわかる。 - の元は
の型をしている。特にこの群は全ての元の位数がである。ここではで生成される部分群の固定体であるから、これを含まない位数の部分群の個数を考えれば良い。
ここでで生成される部分群をとおき、で生成される部分群をとおく。この中心は(非可換群の中心による剰余は巡回群にならないことを考慮すると)である。ここで位数の部分群がを含まないとすると、このときはとで生成されるが、これはが非可換であることに矛盾する。よってはを部分群に持つ。よっての位数の部分群は
個である。ここでととの合成によって生成する群の分を引くことで条件を満たす群は個であることがわかる。