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ここでは東大数理の修士課程の院試の2025A03の解答例を解説していきます。解答例はあくまでも例なので、最短・最易の解答とは限らないことにご注意ください。またこの解答を信じきってしまったことで起こった不利益に関しては一切の責任を負いませんので、参照する際は慎重に慎重を重ねて議論を追ってからご参照ください。また誤り・不適切な記述・非自明な箇所などがあればコメントで指摘していただけると幸いです。
2025A03
- 関数$f_n:\mathbb{R}\to\mathbb{R}$を
$$
f_1(x)=\sin(x)
$$
$$
f_n(x):=f_{n-1}(\sin(x))
$$
と定義する。関数列$\{f_n\}_{n=1}^\infty$は$\mathbb{R}$上で一様収束するかどうか判定し、一様収束するならその収束関数$f(x)$を求めなさい。 - 関数$g_n:\mathbb{R}^3\to\mathbb{R}$を
$$
g_n(x)=\frac{\log(e^{nx}+e^{ny}+e^{nz})}{n}
$$
で定義する。関数列$\{g_n\}_{n=1}^\infty$は$\mathbb{R}^3$上で一様収束するかどうか判定し、一様収束するならその収束関数$g(x,y,z)$を求めなさい。
- 一様収束し、その収束値は
$$
f(x)={\color{red}0}
$$
であることを示す。まず$\sin(x)$は周期$\pi$の奇関数であることから、$I=[0,\frac{\pi}{2}]$に於ける一様収束性及び$0$への収束を述べればよい。このとき$f_n(x)$は任意の$x\in I$に対して非負実数からなる広義単調減少列であるから、極限$y=\lim_{n\to\infty}f_n(x)$が存在し、これは
$$
\sin(y)=\sin\left(\lim_{n\to\infty}f_n(x)\right)=\lim_{n\to\infty}\sin(f_n(x))=\lim_{n\to\infty}f_{n+1}(x)=y
$$
より$y=0$である。ここで任意の$\varepsilon$に対して$f_n(\frac{\pi}{2})\leq \varepsilon$なる$n$を取れば、任意の$x\in I$について
$$
f_n(x)\leq f_n(\frac{\pi}{2})<\varepsilon
$$
であるから、$f_n$の一様収束性及び$0$への収束が言えた。 - まず$x\leq y\leq z$のとき
$$
g_n(x)=\frac{e^{nx}+e^{ny}}{ne^{nz}}\log(1+\frac{e^{nx}+e^{ny}}{e^{nz}})^{\frac{e^{nz}}{e^{nx}+e^{ny}}}+z
$$
である。よって任意の$n$及び$x\leq y\leq z$に対して
$$
\begin{split}
\left|g_n(x,y,z)-z\right|&\leq\frac{2}{n}\\
\end{split}
$$
が成り立つ。$x\leq y\leq z$以外の場合にも同様の議論を行うことで、$g_n(x,y,z)$は一様収束することがわかり、その極限は
$$
g(x,y,z)={\color{red}\max\{x,y,z\}}
$$
である。